human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

◆読書

『孤独の価値』(森博嗣)を読んで

孤独の価値 (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/11/27メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る以下、抜粋とコメント。 小説を呼んだり、ドラマを見たり、といったフィクションの世界に浸ることもできるし、また、現実を…

『特性のない男Ⅰ』を読んで (1)

『ムージル著作集 特性のない男Ⅰ』を読了しました。 面白い。 引き続き第2巻も図書館で借りて読むつもりです。 以下、抜粋とコメント、下線と太字は引用者。ムージル著作集 第1巻 特性のない男 1作者: R.ムージル,Robert Musil,加藤二郎出版社/メーカー: 松…

夏秋と彼岸

『The Void Shaper』(MORI Hiroshi)を数日前に読了して、 その数日前に読んだ箇所が発見で、 しばらく寝る前に考えるなり思うなりしていたのですが、 昨日と今日の起きがけ(といっても時間は長いですが)に感じたことを 書いておこうと思います。抜粋した…

一億総「ナカタさん」説

4ヶ月くらい前から再読している『海辺のカフカ』(村上春樹)がまだ読中で、そんな中久しぶりに自分が昔書いた書評もどきを読んでいて閃いたのでその内容をタイトルに込めました。カフカを読みながら「今の僕ってナカタさんみたいだなあ」と思っていたんです…

図書館員と「可能性の感覚」

一段落して、読書生活を再開し、またこれまでを振り返ったりしています。大した文章ではないですが、講習の応募のために書いた文章を載せます。 私は大学院を出てから去年の9月末まで6年半、神奈川県の○○○で働きました。それから約半年の準備期間を経て、…

ふたたび "Keeping Things Whole" について

『犬の人生』(マーク・ストランド)を数年前に単行本で購入して読みましたが、近所の図書館に新書判(「村上春樹 翻訳ライブラリー」)で見つけたので、あらためて借りて読みました。この本でいちばん記憶に残っているのはハルキ氏のあとがきに引用されてい…

都留氏とこれから読みたい本たち

市場には心がない―成長なくて改革をこそ作者: 都留重人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/23メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る図書館の経済の棚を見ていて、都留重人氏の本をみつけました。 都留氏は鶴見俊輔の伝記…

「中井久夫氏のムック本」拾い読み

毎週日曜に近所の図書館に通っていて、いつも新着図書棚を見ています。 毎回ちょっと見てみたくなる本があります。先週見つけた文藝別冊のムック本『中井久夫 精神科医のことばと作法』に思わず目が留まり、拾い読みして、拾い読みした部分を再読したくて借…

無題11

一寸先は 闇の奥 バイクの照らす 夜の道 走る男は 前を向く 今日を限りと 今日も行き 壁の向こうは 真の空 宇宙を漂う 家の舟 綴る男は 果てに行く 知らぬと知れり 知らぬまま 果てぬ夜空に 星多き 座して名指せど 限りなし 尽きぬ波間に 青深き いにしえの魚…

この書を持ちて、その町を捨てよ/「生活読書」

cheechoff.hatenadiary.jp 前↑の記事で寺山修司がひょっこり出てきたのは、橋本治の小論集『夏日』を同時に読んでいたからです。 下に引用した小論の初出は93年、『新・書を捨てよ、町へ出よう』のたぶん解説文です。 この本は文庫で持っていたんですが(た…

『未明の闘争』(保坂和志)を読んだ

ホッシーが言うように人は前世と同じ人生を生きるのだとして、それは一回きりでなく、何回も同じ人生を繰り返す。宿命とはそのことを言ったかどうかわからないが、宿命の一番正しい言葉の意味はそういうことに決まってる。 (…) (…)アキちゃんは今度は難…

図書館の本いろいろ/「本」を守る

とりあえず司書資格取得を目指します。 × × ×初期投資として司書の仕事や資格のことが分かりそうな最近出版の本(1)を新品で買って読み、1冊目からの数珠繋ぎで気になった本(2)(3)を図書館で借りて読み、図書館の棚を巡る中で興味が湧いた本(4)(5)(6)を借り…

市原〜雲ヶ畑〜上賀茂with一本歯、とその考察

一つ前の記事の通りに、一本歯デイウォーク実践編(3日目)を、本日挙行しました。コースは行きは予定通り、帰りは府道61号と38号の交差点で曲がって市原へ戻らずに直進して上賀茂へ下り、MKボウル上賀茂を終点としました。 距離は予定とほとんど変わらず(…

小島氏短編とT-Gen氏 @図書館

昨日『白衣の女』(ウィルキー・コリンズ)を読了したので、今日府立図書館へ行ってきました。返すついでに借りたのは小島信夫氏の短篇集成1と『「あの戦争」から「この戦争」へ』(高橋源一郎)。 タカハシ氏の本は偶然見つけ、目次を読むとまさに今借りよ…

曲に刻む経験の強度、脳内BGMについて

『菅野満子の手紙』(小島信夫)の派生で『白衣の女』(ウィルキー・コリンズ)を読んでいます。 語り手が複数いて、「それぞれの場面で最も適切な者が語る」みたいなことが序文に書いてあります。 今日は一日読むかと思っていましたが、その一人目の手記が…

群衆は眼中に置かない方が身の薬です

今日は朝から府立図書館へ行ってきました。ここ3日ほどの朝刊(朝日新聞)を読みました。 今朝のNHKラジオでは早朝に起きた福島沖の地震についての報道がずっと続いていましたが、もちろんその地震については載っていません。村上春樹氏のスウェーデン(ノ…

小島信夫-(曼荼羅)-森博嗣

とにかく、そろそろ色々調べ始めることにしましょう。柔軟の第十一歩、遍路出立条件 - お遍路天狗への道と、昨日書いたところの今日に『寓話』(小島信夫)を読んでいて、四国遍路の記述が出てきました。読んでいる間は特に驚かなかったんですが、そろそろ小…

連想における雪国の生活と遠洋漁業/『機械の花嫁』

走り書き。 昼食は定食屋「鉄亭」にて、おでんとカキフライ(+50円)。 先週は店に着いたのがL.O.(15時)を過ぎたために入れず、ラーメン屋に行って体調を崩したのでした。 もう舌は完治。同時に発した気のする唇の荒れ(上下の境目付近のできもの。口を大…

新書斎と『寓話』読中のこと

今日は一日部屋にいます。昨日の疲れ、というより先週の「舌の荒れ」がまだ治ってなくて(活動していれば勝手に治る、と思って昨日は出掛けたのですが)、昨日はああだったから今日はこうしよう、というわけです。cheechoff.hatenadiary.jp一日部屋にいられ…

保坂氏が書くこと、御所ナイトウォーク、進撃の第八歩(「上を向いて歩こう」)

一昨日の強行軍でダウンかと思われましたが、体調は崩しませんでした。 とはいえ昨日はほぼ動かずに一日読書でした(昼の12時に起きて夜の12時に寝たので、昨日の活動時間は半日でした)。外出は近所の薬局(徒歩1分。いつも一本歯でないふつうの下駄(駒下…

「24時間参れますか?」、『寓話』と『正法眼蔵』読始

今日は高野のイズミヤ→府立図書館→京大ルネというコースでした。南北の移動はほぼ鴨川で、住んでるところは鴨川デルタに近いんですがそこから「上り」(高野川方面)と「下り」を一日で両方やったのは初めてでした。 まあ靴なんで平気…と言いたいところです…

『数学する人生』を読んで

『数学する人生』(岡潔、森田真生)を読了しました。 自分の生活に影響を与える(というか「指針となる」)所を引いておきます。 人は[前段で小説と夢を例に挙げて]こうして、心の様々な位置に身を置くことができるのです。この位置を指して「自分」とい…

『寓話』を読もう、鉄の定食屋、和歩の瞬発力、入口の第六歩

今日は、前と同じく京都府立図書館に寄り道してから烏丸蛸薬師のVeloceに行きました。今日のコースは大人しくというかまっとうに、鴨川の河川敷を二条通まで南へ下ってから道路に出て左折しました。 図書館では今借りている途中の本があったので、今日は2階…

「静的想像力」の涵養について

まえおき 昔、テレビで「炎のチャレンジャー」という番組があった。たしかウッチャンナンチャンが司会で、番組が設定した課題をクリアして100万円を手に入れるための参加者の奮闘を眺めるという番組。 その課題の内容が、「電流イライラ棒」(一本道の迷路み…

思考という「効率の悪い営み」/集団を離れる

高村薫氏の時評集を読み始めました。作家的時評集2000-2007 (朝日文庫 た 51-1)作者: 高村薫出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/10/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (18件) を見る氏の本は小説にしろエッセイにしろ、 …

転職を考えない坊主頭

『紙がみの横顔』(赤瀬川原平)という紙にまつわるエッセイ集を読んでいて、ある記事のタイトルを見て思わず笑ってしまい、そして本文を読んでなかなかのシンクロニシティを感じました。 その冒頭を以下に抜粋します。 転職のアクセスマガジン「デューダ」…

『プラグマティズム』再読(1)

プラグマティズムはあらゆる学説の角ばったところを取り除き、それをしなやかなものに矯め直して、それぞれの学説を互いに円滑に働かせようとする。本質的に新しいものではないのであるから、それは古来のあまたの哲学的傾向とよく調和する。例えば、つねに…

『モオツァルト・無常ということ』(小林秀雄)を読んで(1)

『モオツァルト・無常ということ』(小林秀雄)を読了しました。モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)作者: 小林秀雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1961/05/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 54回この商品を含むブログ (96件) を見る本書には戦前や…

ルドルフ・シュタイナー × コリン・ウィルソン(0)

ながいまえおき(だけ) 「で、シュタイナー学校は?」 「人は育てるものじゃない。自ら育つものだ。それにどう手を貸すか、そういうことだろう。私は明日子をあの学校にやって本当によかったと思っているよ」 「だからああいうお嬢さんになったわけですね。…

サイホン/タコの死にゆく道

「大きな月というのは、なにをどうやってもうまくいく、ついているということだ。かならずしも蓄積ではなく、相互に非常に異なるケース、コントラスト、正反対の色、あらゆる方角で一斉に響く和音、下から上へ、あるいは対角線に沿って社会をくぐりぬける、…