human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆくとしくるとし '19→'20 1

年の瀬です。今年は、いつもより寒くない気がします。 だからなのか、年末という感じがあまりしません。毎年、年末になると頭の中に流す曲がまた同じように流れて、それで年末だなと感じる。「節目」という感覚が、年々薄れているかもしれません。 年齢のせ…

Black Enigma

──あまり人の登りを見たりしませんよね?「いくつか理由はあります。 まずは、あまり参考にならないから。僕がそうなんですけど、能力バランス的にフィジカルが弱くて、でも足でグイグイ登るタイプの人はわりと少ないのです。足遣いが上手い人は上半身も強い…

月と眼球

ビルの隙間から月が見える。 見上げながら一緒に歩く。 自分たちだけが動いているように見える。 自分たちだけが止まっているようにも、見える。 同じことだと思う。 月に時間があるか? 月から時間が生まれるか? 月は定点だと捉える。 自分は月に観測され…

香辛寮の人々 2-4 「アニス嬢によろしく」

階段を降りる足音が聞こえたあと、ディルウィードが居間に姿を見せる。 彼はソファでコーヒーを飲むフェンネルに目を留め、笑顔になる。「こんにちは、フェンネルさん。いい香りがすると思ったら」 「やあ。君も飲むかい? さっき淹れたところだよ」 「あり…

自覚を研ぎ澄ませた無垢(はまた今度)、電車スマホの異常空間における共同幻想について

読みながら、この人なんで「普通」ってことにこんなにこだわってるんだろう、ってそばにいたノボちゃんに呟いたら、ノボちゃんは、「こいつの言う『普通』ってのは、人が人の目を意識しないでとる行動、だから覗き見して初めて見られる他人のナチュラルな行…

香辛寮の人々 2-3 明けない夜に、空けないウィスキー

ティーチャーズを飲むのは今日が初めてだ。 スーパーに置いてあるものでは、シーヴァス・リーガルとジャック・ダニエルが好きだという記憶がある。 ただ、初めてウィスキーを手に取った大学生の頃に飲んだ安酒も、味は覚えている。 今好んで飲む気にはならな…