human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

 -アイン・ランド

Hello to "Blue-Box Parallel World" !

セネットの『クラフツマン』も、もう長い間読んでいますが、 海士町に来てからは毎週末の朝食後に読む習慣になってさらに遅読化し、 ようやくそれも最終盤になってきて、読了を惜しむ気持ちが出てきました。ひょんな偶然(というか偶然の偶然)ですが、 この…

<AR-F05> たとえばそれは杉田水脈氏を「生む機械」

人が他人のために生きるのは、彼への関心がそこに伴うから。 どんな無意味な作業にも意味が見いだせるのも、そのためだ。 けれど、社会共生システムの高度化が「無関心」に仕事を割り当てると話は変わる。 無関心の強制が、人に意味の境界を既成とみなし、無…

<AR-F04> Innocence Mirror

言葉は常に両義的で、言い放つ瞬間に反転することがある。 その身に余る言葉は、純粋な鏡の前で無慈悲に己を裏切る。 行動の目的に拘る男は目的意識に囚われているのではない。 目的の存在理由は行動に必然がないという観察ゆえのこと。 キーティングは、自…

個人を殺す個人主義の時代

権力/依存、あるいは命令/服従というタイプの関係は、ひとたび作動するとそれだけで自らを強化し、正当化する傾向を持つのである。言うまでもないことだが、かつてジャン・ジャック・ルソーが述べたように、「おのれの力を法に、そして服従を義務に変える…

<AR-F03> 期待が生む恐怖

社会の皮相が個性に植え付ける、悲愴なまでの皮肉。 鋼鉄の意志は赤錆に蝕まれ、孤独なアイロニと化す。 苦渋を嘗め尽した過去は、あらゆる未来に恐怖する。 再来の予感を打ち消すことに全力を捧げる徒となる。 「どうして、所長はそんなことを僕に話してい…

<AR-F02> ある表情

表情に自然法則を適用することはできない。 物体ではある人の顔の、それは意味だから。 表情のない顔と向き合うことを人は恐れる。 しかし稀に、人を内省に誘う無表情がある。 彼の顔から笑いが消えている。自分の回りの大地に気づいて目を凝らしているから…

<AR-F01> 個人主義の萌芽

仕事を依頼する人と仕事を受ける人とが、 互いに向き合う場合だけでなく、 両者が同じある方角を見据える場合にも、 その仕事が成立する場合がある。 「そうですね、確かに、僕は僕の顧客のために、建てうる中でももっとも快適でもっとも論理的でもっとも美…

尽きぬ流れの「初源」の風景

『水源 The Fountainhead』(アイン・ランド)を読了しました。 かなりの大著で、平日に一日1~2時間読み進めて、半年かかりました。あとがきに書いてあったことですが、 著者は20世紀初期にロシアで生まれたユダヤ系の人で、本名はアリッサ・ローゼンバウム…