human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

石黒浩と森博嗣

『"糞袋"の内と外』(石黒浩)を読了しました。序盤を読みながら、何度か『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』(森博嗣)の内容を連想し、それもあって、この二人は似ているかもしれないと気付きました。 一度そう思い込むと不思議なも…

香辛料の国 1-9

ローズマリー画伯の言葉を反芻する。「絵を描く間、時間が不思議な流れ方をする」。このことは「不思議でない時間」、すなわち通常の時間の流れ方をも示唆する。 感じる者によって、そして同じ者でも状況によって、時は不規則に刻まれるだろう。すなわち、そ…

香辛料の国 1-8

神の存在は任意である。誰のためにいるわけでもない、我々に関与しない存在として、神はある。信仰して跪くのも、邪教と罵るのも、我々の都合に過ぎない。祈りは浸透し、呪いは顕現する。形のない思念は、神を透明にする。 かつ、触れれば反力で応え、凭れれ…

小松菜+カルダモン+セージ=アボカド

レシピメモです。 野菜だしを使った野菜スープの話は前に書きました。 cheechoff.hatenadiary.jpいつも参照している野菜スープ本に載ってない野菜「小松菜」を使って昨日野菜スープ作ったんですが、普段は入れないスパイスを足してみたくなって、小松菜路線…

香辛料の国 1-7

香を永遠に失った者は、月と縁が切れる。湖は止まり、波立たない理想鏡であるはずの水面に、何も映らない。 色を吸収し尽くし返さない者を、風はすり抜ける。彼の周りで流れは淀み、その一点へ向けて、生死の定かでない薄まりは異世界への扉を思わせる。 消…

言葉の青海、類語の泡沫

久しぶりに「Cool Japanese」のタグ記事です。言葉の意味を調べるのに、国語辞典よりは類語辞典をよく調べるのですが、それは正確な意味を調べたいのではなく、類語と比べてニュアンスを確かめたいという意図があります。 厳密に論理的な文章を書きたいとい…

Physics Research with Quantum Purple 2/n

× × ×──初期のコンセプトとして、「身体と脳を仲良くさせる」というのがあったんです。養老孟司先生がいうように現代は脳化社会ですから、仕事をしていても、街に出ても家にいても、使うのは脳ばっかりですよね。身体は補助的な役割しかなくて、脳の制御を外…

Physics Research with Quantum Purple 1/n

「ダメだよ、そのスニーカー。ダメだってことは保証します」 なぜ、果物屋が自信ありげに他人のスニーカーを評するのか。 「ハズレですな、そいつは」 たしかに「現品限り四十%オフ。しかも箱なし」というのを買ってきたのだが、四十%オフになっていなかっ…

香辛料の国 1-6

文字のない本。ページを開けば広がるのは白紙ばかり、ではない。我々は紙の上のそれを、普通の本と同様に読むことができる。ただそれは、文字ではない。たとえば僕が、それを見る。読む。その本のあるページは、すると僕に問いかけてくる。僕はその本に対す…

家の葬式、曲の葬送

──「家の葬式」のことを、前にちらりとおっしゃっていましたよね。 ──はい。我々建築家は、家を新しく建てる場面に比べて、家を解体撤去する場面に立ち会うことが圧倒的に少ないのです。近頃はリフォームやリノベーションが流行しておりますが、世間の建築家…

香辛料の国 1-1

透明の理想。感覚に夾雑物がなく、思考が研ぎ澄まされた状態。圏外から流入する全てを許し、境界の内側から生み出される全てを受け入れる。生きていること以外に興味がなく、すなわち生命の存続に拘りがない。混じり合い、溶解し、呑み込まれ、分解される。…