human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

市原〜雲ヶ畑〜上賀茂with一本歯、とその考察

一つ前の記事の通りに、一本歯デイウォーク実践編(3日目)を、本日挙行しました。

コースは行きは予定通り、帰りは府道61号と38号の交差点で曲がって市原へ戻らずに直進して上賀茂へ下り、MKボウル上賀茂を終点としました。
距離は予定とほとんど変わらず(0.5kmくらい延びたかな?)、概ね20km。
要所の到着時刻や休憩時間は(レシートの裏に)メモしていて、市原駅のそばを出発したのが9:50、MKボウルへ着いたのが15:40で、つまりは今日の行程(道はぜんぶアスファルトでした)で一本歯でのコミコミ歩行速度は 20km/6h = 3.33...km/h と出ました。
休憩などを抜けば、4キロまでは行かずともまずまずの速さになると思われます。

今日は道中(大岩を過ぎたあたり)で同じく雲ヶ畑に向かって歩く元気なおじいさんと出会い、その場で少し喋ったり雲ヶ畑の村街地(?)でばったり出会って同道したりしました。
彼が夜泣き峠から大岩に出てきた時にちょうど後ろに僕がいて、でも一本歯で遅いから離されるだろうと思っていたら意外にこちらの方が少しだけ速く、見つけてから結構時間がかかってから追い抜かんとした時に話しかけられたのでした。
話の内容はここでは割愛しますが、山登りを結構やる(「今度また剣岳に行く」と言っていました)というその75歳のおじいさんより速く歩けたというのが驚きでした。
もちろん彼が焦らずゆったり歩くタイプの人だったからですが。


そういえば今日はネットで購入した鈴をつけて歩きました。
買ったのは熊よけの鈴ですが熊よけのためではなく、遍路の「同行二人」というやつで、杖が大師(=空海)の御身、杖についた鈴が大師の声ということなんですが、僕は杖を持って行かない*1ので単独で鈴を持って行こうと思って買いました。
amazon商品ページのレビューに音声動画が張ってあって、レビューにある通り「風鈴のような音」ではあって敢えて言えば風鈴よりは厚みのある音(ベルの肉厚がけっこう厚いので重量もそこそこあります)なんですが、ズボンのベルト通しにつけて歩くと(ズボンとベルが接触するので)いい具合に反響が抑制されてそれほどうるさくありませんでした。
街中では消音した方がよいでしょうが(消音はネジをひねるだけで簡単にできます)、自然道や周りに建物の少ない車道(遍路の道中ではけっこうあると思います)では鳴らして歩くと心地良さそうです。
大師の声云々に関しては今は何も言えませんが、端的に「雑念退散」の効果があります

この鈴をチリンチリン鳴らしながら歩いていたせいかと思うんですが、市原近くから歩き始めた時に、すれ違った散歩中のおじいさん二人に拝まれました(鞍馬近いですしね)。

ついでに書いておくと、今日の行程の最後の方は上賀茂の住宅街と加茂川沿いを少し歩いたんですが、下校途中の小学生二人(高学年で、何のためか杖を持っていた)に典型的な形式で見物されました。
僕も昔そういうことをやったというのではなく映画やドラマでありそうだという意味ですが、何の気なしにわーっと走って追い抜いていって少し先で立ち止まってこちらを見るともなくじっとしていて僕が通り過ぎてから背中をじーっと観察する
後ろからその視線をひしひしと感じたかといえばまあもともと僕は勝手に人の視線を感じるタイプなのでなんともいえませんが、この「典型的な見物」で間違いはなかろうと思ったのは背中から「すげえ…」とこの「…」が如実に表れた呆然とした声が聞こえたからです。

 × × ×

さて、今までで最も実行程に近い今日の行程を終えて得るものがあったので整理して書いておきます。

本番を前にしての懸念点は次の4つがあります。

 (1) 一日に必要距離(20km以上)を歩けるか
 (2) 何日も連続でその距離を歩けるか
 (3) 歩く中での足の不調と対策
 (4) 花粉症は大丈夫か

一つ目は最初に書いたとおりオーケー。

二つ目ですが、これは事前に何日か連続で歩ければ理想ですが*2、明けて翌日の疲れ方も有力な判断材料の一つになります。実際は身体を慣らしていくことのウェイトが大きいはずで、その「疲れ方」があまりにもひどくなければまあ大丈夫だろうと。

三つ目は上の二つに大いに関わります。
今日は休憩も含めて約6時間歩きましたが、靴と変わらない部分ではふくらはぎが多少痛む点、一本歯独自の部分では右足の親指のマメ(できかけ)、です。
これは前に歩いた時(実践編の二日目だったかな?たしかずっと自然道を歩いた時)と違う部分にできたマメで、下駄の台と指の接触部分のすぐそばにできたので「こすれのしわよせ」的に発生したと思われます。
しかしなぜ右足だけなのだろう? とさっきじっくり考えていたんですが、鼻緒が緩いと台と指がズレやすくなるとは思っていてしかし鼻緒の(親指と人差し指で挟む部分の)長さを左右で比べると右の方がきつくて、それは僕の身体が左足の方が0.5大きいからそんなもんだろうという見当によって左右でつけた差なんですが、それはほんまかいなとメジャーで左右の足回り(指の付け根から少し離れた、鼻緒が締める足の胴体(?)の部分)を測ると左右でほとんど変わらず、「よくわからんけど右はきつすぎてマメができたのかもしらん」という結論に至ってさっき調整しました。
これでマメができなくなれば無敵ですね。
しかし鼻緒の長さがちょっと違うだけで足指にかかる負担ががらりと変わるのであれば(きっとそうなのでしょう)、道中でこまめに微調整をできるようにせねばなりません。
今日の行程は一日アスファルトで鼻緒が伸びるような事態には至りませんでしたが、自然道を歩けばそういう事態はじゃんじゃんでてきます。
とりあえずクジリと布切れがあれば伸びた鼻緒を短くする側に調整できるので、実践編行程でも持ち歩いています。

で、四つ目の花粉症。
今日はだいたいマスクをつけて歩いていましたが、ランニングと違って歩いていてそれほど身体が火照ることもないのでマスクをつけながらでも十分いける…のはまだそんなに気温が高くない今だから言えるだけかもしれません。
今はマスクありならほとんど鼻水は出ません。あと目はまだ目立った症状がありませんが、風の強い夕方に目が乾燥するはずが何やら潤む徴候があったり熱をもったりしたので、旅にゴーグルは入り用かもしれません。
マスクとゴーグルのどちらかならいいとして、両方つけて歩くのはなるべく避けたいですが、これはなるようにしかなりません。

 × × ×

ついでのついでに。

(…)山田氏は汁物用の器に持参の味噌玉を入れ、それを湯で溶き始めた。
 この味噌玉というのは、彼の家に先祖代々伝わる兵糧食だそうで、削った鰹節を炒って粉末にし、葱と共に味噌に突き込んで球状に丸め、焼いたものである。御維新前の騒ぎのときにはおおいに役だったのだそうだ。

梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』

実践編の日は朝から出るので昼食はおにぎりを作って持って行っています。
具になりそうなものはと冷蔵庫を見ると梅干しと味噌があったのでその二種類にしていたんですが、つい最近『家守綺譚』を読み終えて次に読み始めた本にグッドタイミングなことが書いてありました。
冷蔵庫には味噌汁のトッピング用に「粉末にぼしダシ」があり、食品棚には納豆用の「乾燥九条葱」があって、まさにこの抜粋にある「味噌玉」を作る材料が既に手元に揃っていたのでした
今日さっそくこれを作って(僕の場合はおにぎりの具としてですが)持って行き、雲ヶ畑の家々が並ぶ道を歩きながら食べて、とても美味でした。
ただ今抜粋して気付きましたが丸めた味噌玉を最後に焼くのを忘れていたので、次は焼きます(コンロで直火焼かな)。

*1:平地では全く使わないので。ただ下りの山道では重宝するとは靴の時に経験しているので、もし必要になればその場で見繕おうと思っています。

*2:明日も気温が高いので、雨が小降りなら行きたいところです。雨中の進行は実行程で避けられなかろうと思われるので、むしろ歩けるくらいの雨なら歓迎です。