human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『里山資本主義』(藻谷浩介)を読む

書評ではもちろんなく、私的なメモです。毎週土曜BookOffに通って、今日初めて藻谷氏のこの本を108円棚で見つけました。 発刊当初は朝日の書評欄や著名人のツイッタなどで話題になっていた。 早速買って、しかしそのままVeloceで読もうとした時に、最初は躊…

冷蔵庫の音

『キッチン』(吉本ばなな)をかつての同僚M氏に借りて読んだ時に書きました。+*+*+*2012/05/06 00:49 ふと思いついて台所で本を読んでみた。 正座をしたくなって、でもテーブルを出してしまい、 リビングでは落ち着いてできないなあと、 あれ、キッチ…

「底なしの感覚」のこと

どうやら人々は僕らのために、そこにある無蓋の用水溜を危険視しているらしかった、その底の泥に溺れて死んだ少年のことを思い出して。扉の後ろには、僕らのいわゆる千年も前から動かない水が眠っていた。溜り水の話を聞くと僕らはいつもその水を思い出した…

「接戦の感覚」について

平尾 こうなったらチャンスが生まれるんじゃないかと瞬時の判断でプレーを選択して、結果としてチャンスとなっている。このチャンスを察知できるというのは、知識ではないんです。実際にグラウンドに出てプレーをしていないと感覚が研ぎ澄まされていかないも…

「夜走り」経過報告2 - 疲労バランスと「姿勢」の話

どうも過渡期のようなので今書けることを書いておきます。 (ちなみに会社のGWは来月なのでこの時期はふつうに仕事してます)まず先々週末にいきなり走り始めたのでさぞや足も痛かろうと思いきや、 身体の中で「一番つらい(疲労が大きい)」部分は足ではあ…

「夜走り」経過報告

走り始めて1週間ちょっと、の経過報告です。先週は結局毎日走りました。 夜、部屋を出るまでが億劫でも、夜風に当たると走る気になる。 また翌日に響く筋肉痛はなく、足が張っていると思う程度です。 張りは蓄積されているようで、でも走れているのでまだ大…

「体験に基づく頻度」について

「確率」にはいくつかの意味がある。一つは長期的に見た相対頻度である。「この一セント硬貨の表が出る確率は〇・五である」と言えば、一〇〇回投げると五〇回表が出るという意味だ。これとはべつに、単一の事象の結果に対する主観的な確信という意味もある…

無題4

橋の下で、川が大きな音をたてている。 開いた堰を通って水が落下して、小さな人工の滝になっている場所だ。幹線道路から一本入った道沿いで日中も静かだが、音としての川の存在はあまり感じられない。いまは車がいないからだ。 虫の鳴き声はきこえず、風の…

豆供養のこと

スギ花粉の季節はとうに過ぎました。スギだけに(げふんげふん)さて、会社ではまだマスクの人がちらほらいて、ヒノキは継続中らしい。 僕はアレルギーはスギ(とわずかに鱗粉)だけなので、もう"shaba-life"です。 過ぎ花粉に苦しみ始めた2月頃に、コーヒ…

「夜走り」の呼吸と意識について

ランニングの話です。これから続くとみて「走ること」タグを作りました。走るときの呼吸なんですが、足の着地と同時にしているのは昔からです。 で、昔(走るのが嫌いだった頃)は「吸うも吐くも同じ回数」と思い込んでいた。 じゃないとバランスが悪いはず…

走り始めることについて考える時に僕が書くこと

いきなりですが、先週末からミッドナイトランニングを始めました。 いろいろな転機があったのでついでに始めたような案配で、「いろいろ」の経過は以下のようなものです。・先週半ば:仕事中に唐突かつ緩やかに「鎌倉に行きたい」と思う。 ・先週半ば:気温…

「視野の広い必然」について(後)

最近自分の指した将棋をよく忘れるんです。今まで九〇〇局以上は指しているんですが、それまでは大体覚えていたのが、ここ数年は一ヵ月くらい前の将棋でも忘れていることがあるんです。でも、なるべくいい方に考えて、忘れればそこにスペースができて、そこ…

「視野の広い必然」について(前)

勝負を度外視するわけではないですけれど、自分の納得できる将棋を指せたときには、たとえ負けても満足できるんです。私の将棋の理想は、一局の将棋が初手から終わりの一手まで、一本の線のようになっていることなんです。この手を指されたら次の手はこうな…

着地前の「肩引き」について

和歩の話で、前回の記事↓の続報です。「瞬獄殺的歩行」について - ユルい井戸コアラ鳩詣cheechoff.hatenadiary.jp解説なしで使ってしまいましたが、「瞬獄殺」は格闘ゲームの技です。 恐らく格ゲーで最初に流行った「ストⅡ」の豪鬼というキャラの超必殺技。 …

稲村ケ崎、七里ケ浜、江ノ島

今日は年末年始の帰省を除けば、今年初めて電車に乗りました。有休をとって、久しぶりのおでかけです。 目的地は、『季節の記憶』(保坂和志)の舞台、稲村ケ崎です。 文書家?の父と子の「のほほんぶらぶら」な日常が描かれていて、 自然や街並の(描写の)…

ゆーじと社長の息子の言葉など(2011/11/26)

2011/11/26(土)15:45店内 Lブレンドコーヒー ¥220 「今の自分が、何もしないで幸せならば、それは 自分の周りの人々が苦労してきた結果なのだ」 「人はゼロから生まれるのではない」 「両想いの人しか幸せになれない世界は、 きっと哀しい世界だ」 +*+…

必要と必然について

「必要」という言葉に、強く反応することがあります。 「必ず要る、というがそれは本当か?」と疑問に思うことが多々ある。 「必要」という言葉がその物や状況の必要性を形作るのは本末転倒とも思う。 自分の中に強い基準があると、人の言葉にも自分の思考を…

「自然」の実感について

久石 今、みんな暇さえあれば携帯メールをしているみたいだけれど、メールに花鳥風月のことを書く、自然のことを話題にする人なんていないんじゃないのかな。 養老 振り返って考えたとき、人間世界の誰それに怒られたとかいじめられたとかいうのは、自然の中…

「自然」を書くこと

養老 (…)中学生の時にいじめられた記憶を二十五歳になって書いたという『十四歳の私が書いた遺書』という本を読んだんです。そこで気がついたのは、その本の中には、花鳥風月が一つも出てこないんです。桜が咲いた、台風が来た、雪が降ったといったことは…

首凝り族アイデンティティの危機について

新たな首凝り対策を閃きました。内容を簡潔に言えば、仰向けに寝転がりながら読書をします。 本は腕を上げて支えるわけですが、もちろん腕は疲れます。 その時に、本はお腹の方に置いて、頭を持ち上げて読みます。 首がすぐ疲れるので頭は後ろに落ち、また腕…

「自分の必然」の情報化について

最近、「必然」について考えています。一般的には、そうなるべくしてそうなった、ということを意味します。 これを「最初から、やる前から結果が決まっていた」ととらえる人がいます。 結果が分かり切ったことをやっても面白くない、と言えば頷きはします。 …

無題3

目の前では鯵が開かれ、顔を上げれば窓の向こうに空が開けている。「明日の全体朝礼、なくなってんな」 「社長も出張でお疲れなんと違う?」 鯵の開きを「さらに開く」取り組みは食べるごとに改善されている。焼きサンマや鰊の煮付けみたいに骨がまるごと取…

橋本治の本とロマサガ3のこと

「平日和書」として『退屈な迷宮』(関川夏央)をおととい読了しました。 1月末に読み始め、2週間に5日のペースで読んで、意外に時間がかかりました。 読む前の印象と違って資料的な書物で、内容は南北朝鮮のルポや歴史の解説など。 日本が北朝鮮をもては…

「背負わされる人びと」のこと

このブログについて(0) - ユルい井戸コアラ鳩詣cheechoff.hatenadiary.jp このブログは去年の6月から始めて、あと少しで1年になります。 1年弱の間に何度か文章のスタイルが変わっています。 一度大きく変わったのが11月で、冒頭に掲げた記事では軽…

無題2

歩道の左側にはきちんと雑草が刈られた庭らしき敷地があって、間隔をあけて木が7、8本植えられている。「モモが食べたいなぁ」 濃い目のピンクに染まった桜を見ながら先輩がそんなことを言う。 「どうしてですか? さっきの会議のせい?」 「違うよお。こ…

「瞬獄殺的歩行」について

ヒドいタイトルですが…前の記事↓に関連するような話です。すり足感覚とハクセキレイのこと - ユルい井戸コアラ鳩詣cheechoff.hatenadiary.jp静かに歩こうとして、「体重移動を感じないのが理想では?」とふと思いました。 体重移動とは、右足を踏み込めば右…

無題1

ここの信号は短い。 川沿いを少し歩いてきて橋を渡る前から、赤だった信号はもう青になっている。どうせ二度渡るのでどちらでもよいのだが、どうせなら川沿いで待ちたいと思い、少し歩を緩める。横断歩道を一度渡って立ち止まり、低い所を流れる川を真下に眺…

すり足感覚とハクセキレイのこと

和歩の話です。最近はまたちょっと寒いですが、暖かくてだんだん薄着になってきました。 それに伴い、歩いている間の「鷹取の手」をあまりやらなくなりました。 ジャンパで隠れている間はよかったのですが、袖から出ると少し引け目を感じます。 ただ手の緊張…

「待ち方」について(後)

前回↓の続きです。「待ち方」について(前) - ユルい井戸コアラ鳩詣cheechoff.hatenadiary.jp自分のことを書こうと思ったのですが、それはやめることにしました。 ちょうど今日の昼休みに読んだ小田嶋氏の記事↓のことがあります。 僕の部屋は世間から隔絶さ…

"to keep things whole"について

We all have reasons 僕らはみんな動くための for moving. 理由をもっているけど I move 僕が動くのは to keep things whole. 物事を崩さぬため。 "Keeping Things Whole" Mark Strand 「物事を崩さぬために」マーク・ストランド(村上春樹訳) 一部(最後の…