human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2018-01-01から1年間の記事一覧

桐野夏生とタカラヅカ

「姐さんは桐野夏生をご存知ですか。……ね、あの人の小説すごいですよね。重いというか、ズシッとくるというか。僕は『OUT』を最初に読んだんですけど、いや、食事中に話すのもアレなんですけど、死体を切り刻む描写にウッときて……そうそう、弁当屋の工場の。…

脳の新陳代謝、雲を食べること

『国境の南、太陽の西』(村上春樹)を読んでいて、ふと「脳と身体の新陳代謝」というキーワードが浮かんできました。 ある一つの場面に対して連想が始まって考え込み、しばらく立ち止まってから読む方に戻り、また別の場面で先の連想に対する反応がある(連…

香辛料の国 1-4

連想の契機、可能性の感覚。夢は叶うと色褪せるというが、これは夢を現実化する能力や資源に恵まれない者の負け惜しみではない。何かができる、自分は変われると思うのは、今の自分には手が届かないが、霞む視線の先に未知の色を見るからだ。 味や香の組み合…

香辛料の国 1-3

色の混じらない虹がある。五つの各色ははっきりと濃く、境界も明確で、五つの独自の主張となる。相手に見せるのはそのうち1つだけだが、その相手はこのこと、つまり「今目にしているのは五つのうちの1つだけ」であることを知っている。ふつうは2つ、持て…

香辛料のくに(1)

セージは言う、 「科学は幻想かもしれない」 クローブは言う、 「幻想は科学かもしれない」 フェンネルは問う、 現在は過去と未来を含めるのか、 変化と不変は視点の違いなのか、 空虚は充溢のための準備なのか、 コリアンダーは言う、 「小さな音に耳を澄ま…

"walking sincerity"、「行間のある会話」

一昨日に、高校の同級生と久しぶりに会って話をしました。 数年前の同窓会ではロクに立ち話もしませんでしたが、それ以前に在学中もこんなに長く話したことはなかったかもしれません。 聞けば彼女も独立して個人事業で生計を立てているという。 驚きはしたも…

「怒り」と「憤り」、あわよくば『VIVO!』(瀬川藤子)の書評

3巻まである『VIVO!』(瀬川藤子)をさっき読了しました。 何度目かの再読ではあるんですが、最終章を呼んでいるあいだに意外なところに連想がつながったので何か書こうと思いました。VIVO! 3巻作者: 瀬川藤子出版社/メーカー: ノース・スターズ・ピクチャ…

人間の定義、幽霊の希望

「君はいつだって、どこへだって行ける。でも……、ここへ来た目的は?」 「人間じゃない生きものを見たかった」 「ロイディは生きものじゃないよ」 「生きていないの?」目を見開いて、クロウ・スホはロイディを凝視した。「でも、話ができるし、歩いているわ…

「境界の緩んだ思考」- free dialogue in vivo 5

キーフレーズが最初に頭に浮かぶ。「孤独と境界には相関がある」境界とは、自分と他人との境目のことだ。孤独は、自分が一人であること、近くに誰もいないことの強い意識といえる。 その意識の前提として、自分と他人とが、個別にくっきりと認識されている。…

思考の自由、意識と関係、その起源

誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません、誰も。ただ一つの手段があるっきりです。自らの内へおはいりなさい。(…)もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白して下さい。何よりもまず、あなた…

評価、身の丈、個性と抽象

『思想をつむぐ人たち』(鶴見俊輔著、黒川創編、河出文庫)を読了。 これで2回目だったか、3回目だったか。思想をつむぐ人たち ---鶴見俊輔コレクション1 (河出文庫)作者:鶴見 俊輔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/09/05メディア: 文庫 事実は…

悪なす善人、名刺を作って思うこと

半年以上かかっていた『1Q84』は結局、岩手から引っ越す時期の慌ただしさに巻き込まれてbook3前半で途絶し(そして引越し時に半分の蔵書とともに手放した)、なにはともあれ騎士団長への道が一歩前進、次は「多崎つくる」かと思って本棚を眺めると、訳書でな…

Galera2級初クリア、鍛えずに登る、三度入り口、etc.

galera-climbing.com 大阪へ来て、ガレーラ↑に通い始めて1月半、昨日ようやく2級課題(スラブ)を初クリアしました。 常設課題ではなく月ごとにホールドの配置が変わるマンスリー課題ですが、マンスリーの中では3級が未だ一つも登れていない中の、唐突な…

タイムリィな変化に鉢合わせしたので

1週間くらいぶりに内田樹氏のブログを訪れるとHP構造が一新されていました。tatsuru.comスマホ対応なのか、すごくシンプルになりました。 前みたくブログ記事の両側に著作紹介やらツイッターやらがごちゃごちゃ表示されなくなったので、見やすくなって僕は…

暑さと半死、それは修行なのかもしれない

暑いです。 こうまで暑いと、能動的になる意志が熱気に奪われる心地がします。意志は能動性の言い換えのようなもの。 先に受け身の出来事があっても同じで、意志がなければ受け続けるだけ。 「それはいやだ」という反逆が、人の意識の始まり。 だから「それ…

12日目:疲労の徴候、4日ぶりの24番 2017.3.12

この日は、9日目に薬王寺を出て、鯖大師には寄りましたが4日ぶりに次の寺、24番最御崎寺に到着しました。般若心経や光明真言などを唱える、寺に着くと本堂と大師堂とで2回行う「お勤め」は、日によっては8回、10回とやる日もあり、そんな日は歩く時間が減る…

11日目:鈴をなくす、食あたり、「徳増」にて 2017.3.11

以下、日記をそのまま抜粋。 (1)鈴*1をなくした:人気のない道が増えてから白衣の紐につけるようになっていたが、上着を脱ぐ時に一度外す必要が生じ、いったんそばに置いてからそのまま忘れてしまった*2。熊よけ鈴との縁はこれまで、遍路用品店か高知市のア…

理屈の意志、知性の透徹

「理屈はあとからついてくる」とは逆の方向。 「有言実行」よりも抽象的。知性への信頼。 個の超越。 攻撃は最大の防御という言葉があるが、相手が防御しようと構えている場合には、そうそう簡単に有効な攻撃をすることはできない。むしろ相手が攻撃に転じる…

中央線ボルダリング事情

仕事の行き帰りの途中で通えるジムを探していました。 途中とは、主には高井田〜九条間(中央線)か、横堤〜ドーム前千代崎(鶴見緑地線)。 晴れていて特別な用事がなければほぼ通勤は前者の中央線です。これまでに森ノ宮と本町のジムに行きましたが、(前…

ゴミ出しにまつわる自由連想

花巻にいた頃の話。ゴミ袋は市の指定のもので、燃えるゴミ、資源ゴミともに2週に一度のペースで収集へ出していました。 収集所には各地域指定の番号があり、ゴミ袋にその番号を記入します。 僕のところは「南-20-3」だったんですが、住み始めてしばらく経っ…

『スティル・ライフ』、布を垂らす、ぶり子再認知

雨なので家にいました(と気兼ねなく言えるっていいですね)。 久しぶりにゆっくりと本を読んでいます。引越しの少し前から本を読む時間が少なくなって、大阪にきてからもしばらくは動き回っていたので読書に頭を使う余裕がありませんでした。民家の立て込ん…

「都会に舞い戻った縁」に関する覚書

住まいの整理がだいぶ落ち着いてきました。 大阪市内・鶴見区のテラスハウスを借りたのですが、やはり都会です。 当然ですが岩手とは環境がまったく違います。ただ、もともと大阪育ちなので周りの環境にはすぐ馴染めたようです。 静かなところに住みたいと思…

新しい仕事(1):友人とユニットで工業設計をする

シェアオフィスでの仕事が始まりました。 開始早々に忙しくて、1週間ほど経った今やっと落ち着きました。 次の案件開始は僕次第ですが、その前に仕事内容について書いておきます。仕事のジャンルとしては「機械設計・工業設計」です。 大小問わずモノの設計…

私信つづき(携帯復帰しました)

SIMカードのみをUQモバイルで購入して、 SIMフリー端末として購入したAQUOS SH-M04が動かず、 中古販売業者と通信業者の板挟みに遭って*1結局返品し、 (ここまでが前回時点) 別の販売業者から買った中古iPhone6Sはカード挿入後、一瞬で開通しました。ふう…

身体版「無知の知」

通っている北上のジムで、先週からコンペが始まっています。 秋田のジムと合同でやっていて、2週ごとに開催地が入れ替わる。 1戦ごとに、開催中に完登できた指定コースの数・種類に応じてポイントが獲得できる。 それぞれのジムで2戦ずつ、計4戦の総合ポ…

私信ですが

ガラケーからsimフリースマホへの移行が手間取って、携帯が使えない日が続いています。 1週間前くらいからだったと思うんですが、たぶんあと1週間は続きそうです。 引っ越し前なのに…仕方ありませんが。 どうあれ、落ち着くまでもうしばらくかかりそうです…

新しい仕事(0):磨耗を起こさない、風景との関係

前に書いた文章を読んでいました。 これが書かれた時の頭の状態が、読んでいると思い出されます。 眉間には軽く皺が寄り、口は意識的にぴたりと閉じられている。 真一文字を崩す口の端の歪みは、頭の潜行を許す身体の諦めの証。cheechoff.hatenadiary.jpこの…

新しい仕事(0):本と自覚

仕事についてちゃんと考えておかなくてはと思い、その一方で直近にやる必要のあること(引っ越し準備など)が確定されてそちらに意識がとられていました。 やることが具体的なほど動きやすいけれど、抱えるタスクが具体的であるほど、それと同時に対面してい…

陸酔いとともに/新しい仕事

愛媛・松山車旅、無事帰還しました。途中で何か書くと言いながら、書く余力がありませんでした。 考えることがあると言って、運転中は頭が空っぽでした。日記というか行動記録は、五日坊主に終わりました。 ボーズではありませんが、旅用に買ったスピーカー…

三度目の旅は軽四で

というわけで明日から岩手発の車旅です。 学生時代のチャリ旅(大阪〜北海道)、去年の歩き旅(四国遍路)に続いて、とうとう車でもやることになりました。 旅行というよりは、やはり旅ですね。モチベーションからいって。デラシネ・フットワークを活かして…