human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

香辛料のくに(1)

 セージは言う、
「科学は幻想かもしれない」
 クローブは言う、
「幻想は科学かもしれない」

 フェンネルは問う、
 現在は過去と未来を含めるのか、
 変化と不変は視点の違いなのか、
 空虚は充溢のための準備なのか、

 コリアンダーは言う、
「小さな音に耳を澄ませることだ」
 キャラウェイは言う、
「己の感覚に素直に従うのがいい」

 フェンネルは秘める、
 夕日と終末の相同性、
 彼岸と此岸の同期性、
 瞬間と永遠の香辛性。