human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

こころのこどもとともに

 彼女はガールが運んできたミルクを飲もうと、つぼを傾けた。そのとき思いもかけず、つぼから流れでた液体が、紫の細長い滝のように見えてはっとした。それはすぐに影の悪戯、つぼの真上に干してあったスカーフの色が映っているのだとわかったが、つぼの注ぎ口からグラスへとつながった紫の帯は、生れて初めて出会う景色であり、感動せずにはいられなかった。こういうことが長い生涯のあいだに実にしばしば起こり、そのたびに彼女は新しい経験を積む子どものように歓喜に浸るのであった。

「主人公のいない場所 赤い山」p.23
加藤幸子ジーンとともに』新潮社

 
それが「初めて」のことならなんでも体験する。
目の前のことに「初めて」を見つけられるなら。
繰り返したはずのなにかを忘れていたとしても。
「初めて」の体験の中には必ず発見があるから。

行動の選択理由がおなじく様子見の理由にもなる。
直感は当てにすべき時と当てにならない時がある。
その当てにならない直感に気付く直感もまたある。
直感を助ける理性には大雑把な運用が求められる。

直感は変化に向かい、理性はその変化を許容する。
 
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