human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

機上の人/静かな家

昨日から岩手での生活が始まりました。

昨日は朝に飛行機で大阪空港からいわて花巻空港へ。
所要時間は1.5hと、大変短い。
新幹線だと東京駅経由でたしか6hくらいかかったはずですが(東京〜新花巻が各停で長い)、格安チケット会社で事前予約すれば飛行機の方が安く行けます。
純粋に移動だけなら時間・料金ともに勝る飛行機がよいですが、でも新幹線も「車窓の旅」と言えるほど風情のあるものでもないので、新幹線を選ぶ理由は「予約なしでも確実に乗れる」くらいでしょうか。

機上では雲を眺めていたらあっという間に時間が過ぎました。
東北は低気圧が近づいていると機長のアナウンスがありましたが、ヴィヴィドな凹凸が延々と続く雲海は見応えがありました*1
飛行機はだいたい800km/hで飛んでいるというのにすぐ近くに見える雲の動きが緩慢で、相対速度を無視して止まっているように見えたのですが、空の上では距離の目安になる構造物がなくて距離感が麻痺してしまうのでしょうか。

新しい貸家の最寄り駅は花巻駅で、花巻空港駅(ともにJR)からは1駅です*2
空港到着時に不動産屋の人が迎えに来てくれたので車で貸家に直行してもらいました。
到着して手持ちの荷物を整理しているうちにガス屋さんが来て元栓や給湯器の点検をしてもらい、同時に宅急便が来てSoftbank airが届きました。

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ターミナルの電源を入れるだけで無線LANが繋がるとは驚きです。
今まで光ネットを使っていて引っ越しごとに工事をしていたんですが、進歩したのですね(知らなかっただけかな?)。
僕はスマホへの買い替えが億劫なほど最新機器とやらに疎いのですが、あまり長期にわたって保守的になると大きく損をすることになるようです。
それも当然のことですが、単にレトロ趣味というだけでなく「損をしてでも得たいもの」がある場合は新しさを求めなくてもいい。
僕のスマホに対する印象は「街中で使用している人の姿が絵的にイヤ」で*3、ネットを外で使う利便性を特に求めていないのでガラケーでいいと思っています。

それはさておき、その後は届いた引っ越し荷物の展開と生活用品の調達に追われて今に至ります。

今日(5/28)で二日目ですが、部屋の静けさが京都にいた頃と圧倒的に違います。
隣家や塀を挟んだ裏手のアパートに子どもがいて時々声が聞こえるし、隣家が面する車道にぽつぽつと車が通るので全く音がしないわけではないのですが、それらの音はノイジーではないのです*4
なぜかと考えるに、これは仮説ですが、京都のマンションでは生活音が飽和していて身体がそれ以上の音(というか識別不能な数多のノイズに加えて個別に聞こえてくる音)に非寛容だったのに対して、今は識別不能なノイズがほぼゼロなので身体が生活音に対して寛容になっている(むしろ求めている? あまり音がなさ過ぎる空間にも人は耐えられないらしいので)からではないか。
慣れてくるとまた印象が変わるかもしれませんが、今は精神的にとても落ち着いています*5

*1:新幹線の車窓と比べるには種類(?)が違いますが、意図せず頭の回転を強要されるような「広告的刺激物」がない点で雲海の景色は心地良く、飽きずにずっと眺めていました。

*2:この点で遠方への(あるいは遠方からの)アクセスが良いと言えますが、遠出する機会もないので特に利点というわけでもありません。

*3:やっていることはスマホガラケーと似たようなものなのに不思議なことですが、のめり込みの程度差でしょうか。スマホの周りを全く気にせずのめり込む感じが…でもガラケーで同じように夢中になっている人を見てもそれほど気にならないような。あるいは機能の差かもしれません。スマホでできることがガラケーに比べて格段に多くなって、のめり込む人を見て「何をやっているのか想像がつかないので不気味だ」ということかな。なんだかパソコンが普及し始めた頃の年配会社員みたいなこと言ってますね。

*4:窓ガラスが二重なので遮音性が高いというのもあります。雪国仕様。

*5:一方で肉体的にはちょっとつらくて、それは布団が未調達で寝袋で寝ているせいです。今回の家は2LDKで広めのLDK以外の2部屋は和室なのでベッドを持って来ませんでした。歩き遍路中は和室の宿がほとんどで布団に慣れたのでこれを機会に変えてみようと思ったのです。起きて布団を畳んで押し入れに仕舞ってしまえば生活にメリハリがつくだろうという目論見もあります。…とにかく早めに寝具は調達した方がよいですね。