human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

省エネクロール会得

「省エネクロール」を会得しました。
使いこなすには(筋力的に)まだまだ遠いですが、考え方というかコツらしきものがつかめた気がします。
以下はそのお話。

 × × ×

完泳コースを往復する間に、すれ違う人や自分を追い越す人の泳ぎ方を観察しています。
平泳ぎの手の動きも気になるのですが(僕自身は手をあまり有効に使えていない感じがするので)、クロールは「届かぬ高みを仰ぎ見る」感じなので平泳ぎの視野の自由度を活かしてじっくり見ています。
もちろんスイマーの一人ひとりに違いがあってどの人の泳ぎがよい参考になるかなんてわからないといえばわからないのですが、昨日の午後に泳いでいて「これは!」と思えるクロールおじさんを見かけたのでした。

クロールのうまい人ほど脚をバタバタさせていないという統計的印象があって、そういう泳ぎは力ずくな感じがなくまさにスイスイ前進するのに見とれてしまうのですが、そのクロールおじさんはスイスイと表現できるほど速くはなかったのですがとてもリラックスして見えてしかも「沈まない」。
その昔、息継ぎするごとに体が沈んでいってだんだん息継ぎがつらくなる(しまいには息継ぎの時に横を向いても顔が水面下にあってゴボゴボ…)経験"しか"してこなかった僕には理想的な泳ぎ方に思え、そして要点だけを押えたシンプルな手足の動きを見て「これなら自分にもできるかも」と思ったのでした。


僕の観察では、片側の手を水中で掻く前に、同じ側の足を一回パタとやっていて、その「パタ」は体が沈むタイミングで沈まないための動きに見えました。
つまり、クロールにおいて足は体(下半身)が沈まないためにのみ動かし、前進は手の掻きが担う。
これが本来のクロールの思想なのか、亜種としてそういうクロールもあるのかは知りませんが、とにかく飛沫が派手に上がるほどよいかのような小学生のバタ足と大差ない根性クロールしかできない僕にとってはまさに革命的な認識なのでした。

で、ものはためしと何度か試しているうち、「パタ」は沈まないためだけでなく、体を回転させる効果もあることに気づきました。
そういえばクロールおじさんは息継ぎする時に頭だけでなく全身が横を向いていて、しかしそれは同時ではなくて体の各部が順に左を向いたり下を向いたり右を向いたりと、それは喩えるなら回転方向にあそびがあるヘビのおもちゃを左右にねじるような動きでした(そんなおもちゃの実物は見たことありませんが)。
はたから見るとそのねじる動きは、くるくるというよりふにゃふにゃしていて、前進する主目的に対しては無駄な動きに見えていましたが、実際やってみると、その「パタ」をやると息継ぎがとてもスムーズにできることがわかりました(前進にどう寄与しているかはまだ不明です)。

たとえば右足を1回パタとやると下半身が反時計回りに回転し、それにつられて上半身も回ろうとするのですが、そのあたりのいいタイミングで右手を掻いてやれば、顔を上げようとしなくても勝手に頭が右を向く。息継ぎをしたければ、その時にすればいい。
この時点で体全体が右に傾いていて、それを戻すためにいいタイミングで(と書くのは簡単ですが僕はまだこのタイミングがよく分かっていません)左足を1回パタとやり、次いで左手を掻く。以下その繰り返し。


昨日今日とこの省エネクロール(どこが省エネかといえば、バタ足回数が必要最低限に抑えられている点です)をいつもの平泳ぎの合間に練習してみて、「体が沈まない息継ぎ」ができるようになったのです、なんと!
ホント、スイミングクラブに通ったり(幼稚園の時に通って理由は忘れましたが挫折し、また小六で体育の授業についていくのが危うかったので短期集中で通った、んだったかな?)、小中高の体育で散々苦労して結局身につかなかったクロールがこんなに簡単にできるようになるなんて…英語の授業みたいですね。

まあ「できるようになった」という認識は早計の可能性もあって、というのも25mしか泳げないのは変わらないからなんですが、この原因は上半身(腕かな?)の筋力不足にあるとみています。
沈まない息継ぎができて、しかも平泳ぎで水に慣れたおかげか息継ぎによってだんだん苦しくなることもほとんどなくて、それでも25mコースの後半でスピードが落ちるのは手で掻くのがつらくなってくる(特に左腕)からで、ほとんど手だけで前進するクロールで手の動きが鈍ればどうしようもありません。
だから、泳ぎを習慣化するうちに腕の筋肉がついてくれば、クロールで泳げる距離も延びるかな、と楽観的に考えています。

平泳ぎばかりずっとやるよりは時々クロールを混ぜた方が長く泳げるようなので(平泳ぎは膝への負担が大きい)、今後は両方を織り交ぜて行こうと思います。