human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

スパイス考

昨日、帰りがけにギャバンフェンネルを買いました。

 × × ×

とだけ書くといろいろと「?」な文ですが(「ファンネル」じゃないのか、とか。いや誰も思わないか…そういえば「宇宙刑事ギャバン」というのがありましたね。古いか)、フェンネルは香辛料です。

さっき作って食べた夕食は「カレーのお焼き」で、作りだめしたカレーのバリエーションとして何度か作るうちに「焼きカレー」(グラタン皿に米+カレーを盛ってチーズ+αをトッピング。そういえば遍路で高知の民宿兼「隠れ家的カフェ」の夕食に出て初めてその存在を知ったのでした)「焼き野菜カレー」(カレーに具はあるが別途にオーブンで焼いた野菜を加える)などいくつか加えてきたうちの一つで、そういえば作りだめした野菜スープの残りにも同じことをしていたんですが、カレーに米と小麦と片栗粉を適量加えてタネをつくり、油を引いたフライパンで焼き上げるもので、今日はタネがお焼き4個分できたので、片面に香辛料を変えて振ることで味の違いを出しました。

その香辛料とはカレー粉にも入っているもので、でも特定種(2種類)を表面に振るものだからその2種の味が引き立ってきて、香辛料の特徴がわかるし、それらがカレーの中でどう引き立つかもわかるという、たいへん勉強になる夕食でした。

そものはじめ香辛料は、自作カレーを「カレー粉を使わずに」つくるつもりで買い始めたんですが、ある時カレーのレシピ本(たしか「レトルトでもこんなに旨い」的な)に「カレーの隠し味ランキング」という記事があって、その中にコーヒーがあるのを見て、常々頭の中にあったもやもやが言葉になったんですが、すなわち「カレーの隠し味にコーヒーがいけるなら、コーヒーの隠し味にカレー(粉)もアリだろう」と、まあ標語的にこう書いたものの実際ドリッパー上のコーヒー粉にカレー粉を振ったことはなくて、要はカレー粉を構成する個々の香辛料をコーヒースパイスとして使えるだろうという発想に至ったわけですが、思えばクミンコーヒーなるものを昔自分で編み出したこともありました。

cheechoff.hatenadiary.jp

…とここまで書いて、上に張ったリンク先の記事を読み返してみると、「コーヒー×カレー」の発想を梨木香歩氏のエッセイを読んで得ていたようです。そうだったのか。

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本題。
カレー粉の成分表を見て「ふんふん、いろいろ入ってるのね」と勉強し、カレーのレシピ本(これはたぶん自分で味付けするやつ)のレシピにある登場頻度とか分量の多い香辛料をチョイスして、クミン・カルダモン・ターメリックから買い始めたのがたぶん数ヶ月前で、それから時々スーパーの調味料棚を通るたびに小瓶を手に取って説明書きを読んで気に入ったらというか気になったら買う(学生時に業務スーパーの肉で一時期食いつないだ時期があって、食材を100グラム単価で価値付ける癖もとい貧乏性が身についてしまって未だ無意識に居座っているため、香辛料がとても高価に思えて一度にたくさん購入できないのです)ことをいくたびか繰り返し、その直近の1回が昨日のフェンネル購入でした。

僕の生活において香辛料は「カレースパイス」かつ「コーヒースパイス」であると同時に「ミューズリースパイス」でもあって、ミューズリーに入れるのはアララ(というイギリスメーカー)の無糖ミューズリー(たしかDELUXなんたらという種類)にカルダモンが入っているのを見て「なるほど」と思って始めたもので、こちらはこちらでけっこうこだわりというか体系ができあがってきていて、いつか記事に書こうとは思っていますが今回は本題ではなく、ここで書こうと思っているのはその上位概念、つまり香辛料そのものについてです。

コーヒーやらミューズリーにいろいろと種類や組み合わせを変えてスパイスを入れてきて、個々のスパイスの特徴がだんだんと見分けられるようになってきたので(最初はクミンとカルダモンの違いもよくわかりませんでした)、ここでひとつその違いを言葉にしてみようじゃないか、と、今晩のお焼きを食べながら思いついたのでした。

が、ここまで書くのに疲れたので、列挙だけやっておいて本題の中身は後半にまわすことにしましょう。

名称 形態 原産国 備考
クミン パウダー トルコ  
カルダモン パウダー インド  
ターメリック パウダー インド うこん
ホァジョー パウダー 中国 中国産山椒
コリアンダー パウダー マレーシア *1
ナツメッグ パウダー インドネシア  
クローブ パウダー (記載なし)  
フェンネル パウダー (記載なし)  
シナモン フレーク インドネシア 瓶にミル付属
バジル みじん切り エジプト  
オレガノ みじん切り トルコ  
セージ パウダー トルコ *2
パクチー みじん切り フランス 香菜(シャンツァイ)

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3/18追記

フェンネルの香りが、料理ではなく昔のいろいろな記憶の断片を呼び起こしたのですが、それを言葉にしようとして嗅ぐと、言葉は逃げていってしまいました。
名前がメジャーでないこと、そして代表的な料理がない(というか僕が知らない)ことで料理の記憶が香りとリンクしていないこと、それでも実際はいろんな料理に使われていることが、子供の頃によく行っていたよくわからない施設(ビルの名前は覚えていて、新車売り場にあるような子供の遊び場もあったんですが、何の目的をもった建物だったんでしょう)の記憶に結びつくことになったのでしょう。

というわけで、一つひとつのスパイスについて書こうと思っていましたが、それはやめておくことにします。

以下は、後編として書こうとしたなにか。
構造、メカニズムとしてはあるていど考えられるんですが、
生情報が含まれていないという意味で、今の自分にはあまり面白くないので筆を折りました。


 スパイスは記憶と結びつきやすい。
 ささやかな、うっすらとした記憶。
 断片、印象。
 それはスパイスの特性に因っている。
 引き立て役、下で、あるいは上で支える。

 ある一瞬と共に活発になっていた五感。
 記憶に「色」がつくメカニズム。
 色の質量と明確さは視覚が優れる。
 耳と鼻はそれぞれの曖昧さで脳に刻む。
 色の曖昧さに加えての、意思の曖昧さ。
 無意識に晒されるのは、嗅覚の方が上。
 記憶の曖昧さは相互のリンクしやすさにつながる。
 

*1:豆知識でもなんでもありませんが、SFCバハムートラグーン」にコリアンダーという敵(グランベロス帝国だったかな…)がいた記憶があります。固有名詞の知識が増えていくとへんな所でつながりが出てきますね。

*2:これもゲームの話ですが、SFC「テイルズ・オブ・ファンタジア」では使用により能力値がアップする薬草として出てきます(たしかに薬効がありそうな風味で、風邪を引いた時はコーヒーを飲まないのですが(経験上悪化するので)、治りかけから完治までは薄めのセージコーヒーがなぜか美味しく感じます)。ゲームをやっていた当時は中学生で、「ソーセージとなんか関係あんの?」とか思っていました。薬草ではあと「とうちゅうかそう」というのも出てきて、漢字を全く想像しなかった(だから草だとも思わなかった)のを覚えています。「薬草」という分類は今の僕がしていて、当時は「能力アップのアイテム」という認識だったでしょう。