human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

冷凍トイレ、転ばぬ先の葛根湯、「必然」の健康観

昨日からしばし寒さが落ち着いています。
最近書いていなかった主な理由は寒いからです。
暖房をかけ続けると空気が濁ってくるので時々しか点けず、
すると長時間テーブルに座って何かをすることができない。

起床時にトイレの水が止まったことがこれまで二度あって、
水抜きしていたのにの関わらず凍ったのならそれは室内で、
学習してトイレに常備しているヒーターをつけておくと、
10分かそこらで水の流れが復旧します。

(水抜き栓を戻す時に水道管に水が充填される音が聞こえるのですが、
 上記の水が止まった時にもその充填音が聞こえていたので、
 これも凍ったのでは外ではなく中だというヒントになります。
 換気している風呂場の蛇口付近の水もよく凍ることがあります)

が、今季いちばん厳しく冷えた一昨日の夜にトイレの水抜きを忘れました。
予報で最低気温マイナス10℃の日で、案の定水抜き栓に全く応答しない。
室内ではヒーターをかけつつ、外では「それらしき所」に熱湯をかけました。
遠隔式水抜き栓↓の先が埋まっている周辺の、水道管が通っていそうな辺り。

f:id:cheechoff:20180116184720j:plain

写真はそれより前、初めてどっさり積もった時に撮ったものです。
初雪かきだったので通り道のほかにいろいろ掘り起こしていたのですが、
昨日気付いたのは、たぶん水道管直上の地面に雪は残した方がよいこと。
畑の野菜に雪を積もらせて冷害を防ぐのと同じことだと思います。

 × × ×

しばしば葛根湯を飲むようになりました。
大きな風邪を引いたのは昨年暮れの一度だけ(2週間続いた)でしたが、
風邪の予感は何度かあって、そのたびに予感段階で漢方を頼っています。
漢方(的思想)の紹介本↓を読んで、生活にいろいろと影響を与えています。

丁先生、漢方って、おもしろいです。

丁先生、漢方って、おもしろいです。

漢方薬には「上品・中品・下品」というグレードがあって、
その基準は効能の大きさではなく「副作用がいかに小さいか」だそうです。
そして「同じ薬が下痢にも便秘にも効く」という漢方薬の例もあって、
漢方の目指すところは病原の除去よりは中庸状態の回復促進にある。

「促進」は助太刀の立ち位置で、つまり本人の現状復帰力がメインとなる。
そして服用して病の気が消えることもあり、何も起こらないと感じることがある。
後者が望ましいことの理由は、良い漢方薬が「上品」であることにあります。
副作用もなく自然と治ったと思えるなら、体の状態が良いという証拠です。


漢方はどうも、武道と通じるところがあります。
外力(特に局所的な効力をもつもの)に依存せず、身体全体の潜在力を活かす。
連想するに、身体教育研究所長・野口裕之氏の健康観とも通じます。
健康は良きを目指すのでなく、個々の身体にあるべき健康状態がある、という。

京都にいた時、氏の公開講話に一度だけ行ったことがあります。
その時に聞いた話か、『朴歯の下駄』に書いてあったかだと思います。
数学者・秋山仁ニヒリズムにどっぷりと深浸けしたような風貌を今思い出します。
講話の内容は他言無用と言われたので、講話の日にさわりだけ↓書きました。

cheechoff.hatenadiary.jp

身体性の賦活と、健康であり続けることはイコールではありません。
身体が丈夫でも体調を崩す時は崩します。
その時に、不調をものともせずに普段通りに動き回れるよりも、
不調を敏感に受け止めて「不調に適った動き」ができる方を目指す。

これは壮年期の人にとって「老いと向き合う」ことと同じでしょう。
けれど事は、老いを身に感じ始めた人だけの問題ではない。
たとえば、経済成長を諦める縮小社会のメタファーでもありえます。
個々の身体ではなく社会の問題と見れば、それは全成員に関わってきます。

「弱さ」を言祝げれば、新しい時代の地平でその朝日を拝めることでしょう。

「人間と共に、黄昏の時代を生きていきます」とセルムに決意を語ったナウシカのように。

風の谷のナウシカ 6 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 6 (アニメージュコミックスワイド判)