human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

ねじらない回転について

棒術の話です。

武器を制御する心地よさはあると思います。
その心地よさはどこからくるのか。
ひとつ、「思い通りに動かせている」所にあると思える。
同じことを言っているようですが、では「思い通り」とは何か。

狙った空間に振れる、あるいは狙った点を突ける。
それが一般的な武具の制御だと思います。
そしてもう一つ、「小さい負荷で大きな力を生み出す」こと。
素手よりも武具があることで、これは感じやすいはずです。


棒の真ん中を左右の手で持ち替えながら回すのを「風車」と呼んでいます。
これは棒の両端の回転モーメントを無駄なく活かせると、するする回ります。
回るのですが、風車はどうも「力技」系のような気がします。
腕力さえあれば、不器用でも早く回すことができる。

同じ棒の回転でも、別の回し方があります(というか思い付きですが)。
腕や手首をねじるのではなく、両手を回転方向に押すことで回転させる。
「押し」で力を与えて、そして棒を持ち替える時にもう一工夫があります。
回転力を削がないよう、かつ棒が落ちないように「するりと把持する」。

微妙な握力でもって棒に沿わせてするする手を滑らせるわけです。
この、微妙な握力の「微妙さ」が、なかなか繊細なのです。
少しでも強く持てば回転が乱れ、弱く持てば棒が下がる。
実はこれも「小さい負荷で大きな力を生み出す」身体運用のひとつなのです。

ということにさっき気付いて「へえ」と思いました。へえ。