human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

香辛寮の人々 2-10 存在と意味

「僕にも昔ね、気になる女の子がいたんだよ。小さいんだけど妙に落ち着いていた。女子には珍しく女子同士でグループを作らずにさ、男子たちのノリにたった一人で違和感なく混ざりながら、その表情には妙に惹きつけられる可愛さがあった。 ふつうの女子にはな…

出生率改善の劇薬、野党「ババ抜き」必敗則

『老いてゆく未来 GRAY DAWN』(ピーター・G・ピーターソン)を読了しました。2001年出版、原著は1999年でデータは当時のものですが、 少子高齢化問題について包括的な考察がなされています。 未来予測というより問題提起に力点があるので、 統計データが古…

「真実はいつも一つ」どころか無限に増殖しているとすれば

毎日新聞書評欄の、ちと古い2020.12.19号を読んでいて、「ん?」と思いました。 × × × 原発事故後に福島の支局で取材をしていた朝日新聞記者が書いたというルポルタージュ『白い土地』(三浦英之)の書評で、評者は国際政治学の岩間陽子という人。様々な理由…

「TRAVERSES/6」を読む (2) - 言葉は社会を動かせない

2021.1.16追記タイトルで言いたかったことが本文に尽くされないまま途絶しているので、最初に要点だけ。仮説ですが、六十年代後半からの世界的な若者の運動、それに呼応する現代思想の躍動がバネにしていたのは、「強い(鋭い)言葉は社会を動かすことができ…

Metaphorical Multiple Reflection

「共通する3つのモチーフ」 あらゆるものを見、体験する旅。 (内面と事物の創造的対応、象徴が現実を生むこと) 無関心でいられないこと、理解欲は生命力。 不可視にいたる門は可視であらねばならないこと。 「新たな問い」 旅の終わりは変化の兆し。 (そ…

世界が個人になってきた

この理論は、非蓋然的なコミュニケーションを三つの基本的諸問題の諸側面に関して蓋然的なコミュニケーションへと変換する際に必要とされる一連の媒介物を包みこむ一般概念を要請する。そのような媒介物を「メディア」と称することとしよう。 「第三章 コミ…

「TRAVERSES/6」を読む (1)

20世紀末のフランス思想誌(の翻訳)なるものを読了しました。 テーマは、冷戦とか、共産主義とか、ポストモダンとか、第三次世界大戦とか…世紀末の政治 (TRAVERSES)メディア: 単行本近現代の世界史(=本書を読む大前提の知識)に疎い人間が手を出す本ではな…

ドーマルとルーマン、〈山〉の掟とアナロジーの集中力

「おしまいには、とくに〈類推の山〉の掟のひとつを書きこんでみたいんだ。頂上にたどりつくためには、山小屋から山小屋へと登っていかなければならない。ところが山小屋をひとつはなれる前に、あとからやってきてそのはなれた場所に入る人たちを用意してお…

ドーマル、多和田葉子、橋本治と「メタファーの力」

ルネ・ドーマル『類推の山』を、その本編を読み終えました。未完の遺稿というのが惜しいです。 何も知らずに、それからまだまだ続くはずの「……」で章が終えられた次の白紙のページに出会って、呆然となりました。 そして、 ただ、それはもう、そういうものな…

ゆくとしくるとし '20→'21 3 「図書館をつくろう」

正月は毎年テレビばかり見ていて、目が痛いです。 ただ普段全く見ないので発見はいろいろあります。NHKの「100分de名著」だったか、 萩尾望都の特集を見ました。 『銀の三角』と『11人いる!』は何度も読んでいて、 でも『ポーの一族』はちらりと読んでよく…

ゆくとしくるとし '20→'21 2

今年ははちまんさんへ登ってきました。去年は面倒くさがって行かなかった気がするんですが、 それまで毎年行っていた元日の初詣を再開したという感じです。年の変わり目に間に合わせる気もなく、 新年10分前に家を出たので道中で新年を迎えました。 近くの…