human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

有用性、肯定性を「ずらす」ために

有用性で人をとらえることを断固として否定し、有用性を人の心に介入させない仕組み、相殺する世界観が心の更新のために必要なのだ。意味があるから生きているのではない。そこに戻るときに、人の心に更新される力が生まれる。心の更新 - 降りていくブログ昨…

「空のいけにえ」(宮崎駿)を読んで

タイトルは本のタイトルではなく、 『人間の土地』(サン=テグジュペリ)の解説のタイトルです。表紙絵が宮崎氏だったので「へえ!」と嬉しくなって読み始めたのですが、 最初からいくらか読み進めている間、酷というか、 怒濤というか、 今まで数多くの文…

井の中のコアラ、退会を知る

なんとも絶妙なタイトルを思いついたので、 twitterを止めることにしました。 × × ×と書くとウソになりますが、 まあ結果的にそう考えると収まりがよいという話です。 × × ×最近家でネットを使う時間が減っていて、 昨日5日ぶりくらいにPCを立ち上げると、 …

時鐘(寺鐘)の音

ぼくは一度、母の臨終の床に侍した三人の農夫を身近に見たことがあった。もとよりそれは痛々しくはあった。二度目の臍の緒が断ち切られるわけだった。(…)ただぼくは、同時にこういう事実も発見した。この訣別によって生命もまた二度目に与えられるのだと。…

テグジュペリ-吉本-村上ライン

ぼくは、自分の車室へ戻ってきた。ぼくは、ひとり言をもらした。彼らは、すこしも自分たちの運命に悩んでいはしない。いまもぼくを悩ますのは、慈悲心ではない。永久にたえず破れつづける傷口のために悲しもうというのではない。その傷口をもつ者は感じない…

死者の視線を感じる(『成長から成熟へ』を読んで・後半)

前半から続きます。 たとえば、『宮本常一が撮った昭和の情景』(上下巻/毎日新聞社)という写真集を見てください。(…)この写真集を見ていると、あきらかにいまのぼくたちとは目の光が違うことに気づくはずです。 それが、プロの写真家ではなく、あくまで…

辺縁に生きる(『成長から成熟へ』を読んで・前半)

こめかみが痛んだ。僕は台所に行ってまたウィスキーを飲んだ。僕の体はどうしようもなく揺れつづけていた。ジェット・コースターは音を立ててまた動き始めていた。繋がっている、と羊男は言った。 ツナガッテイル、と思考がこだました。 いろんなものが少し…

今日のぶり子:インスタント・ドリッパー

「ぶり子」はブリコルールの愛称です。 ブリ子よりはニュートラルだし、鰤子だとあまりにお魚なので。 前は勢いで鰤子と書きましたが、頭の中が鰤大根で一杯だったからです。この1枚に文脈がふんだんに詰まっていて、 そのどれもこれもがどうでもいい話です…

桜散る サバに口説かれ 初煮付け

じつはまえおき 今日、初めて自分で魚の煮付けをつくって食べました。 鯖の切り身です。一人用フライパンに鯖が2/3くらいつかる量の水を入れ、 沸騰したら鯖(若干凍ってました)を入れてしばらく煮込み、 いつも味噌汁に使う液状カツオだしと卵かけご飯用醤…

無題8(暴投)

「君の人生がママならないなら、僕がパパになるよ」 「いったい、何の話をしているの?」彼女の窮状を見かねてつい発した言葉が愛の告白になってしまったが、 告白にしては迂遠に過ぎたようだ。家族の中で最年少の成員の視点から呼び名が決まるのは文化人類…

「羊男」は羊かい? それとも羊飼い?

なぜ憎みあうのか? ぼくらは同じ地球によって運ばれる連帯責任者だ、同じ船の乗組員だ。新しい総合を生み出すために、各種の文化が対立することはいいことかもしれないが、これがおたがいに憎みあうにいたっては言語道断だ。 ぼくらを解放するには、おたが…

『満足の文化』(J.K.ガルブレイス)を読んで

『満足の文化』(J.K.ガルブレイス)を「午後いっぱい@Veloce×3日」で読了しました。 とても面白かったです。 経済学者の本とは思えないくらい。 92年にアメリカで出版された本で、 原題は "THE CULTURE OF CONTENTMENT" というのですが、 contentmentは他…