human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

雨中の第四歩、新コース開拓

今日は予報では一日雨でしたが、空が明るいので小降りの昼前に大文字山へ行ってきました。
タイツ+上下とも防水着、という軽度に濡れる前提の服装で出発。
(ただリュックは非防水なのでポケットに入れる財布はビニール袋にくるむ。いずれは長時間行動用の防水リュックを買わねばなりませぬ)

途中で吉田山緑地に寄りつつふらりと迷いつつ(緑地から路地に下りた時に方角を勘違いして、今出川通白川通だと思ってしばらく歩いてしまいました。メガネかけないと街並がどこも同じに見える…わけでもないんですが。思い込みの威力強し)、銀閣寺へ至る出店通りの坂は避けて静かな路地の坂を上って登山口へ。

要領は前回と同じなんですが、雨が降ると踏み込み時に遣う神経がさらにピリッとせざるを得なくて、前回は「足下がおぼつかなくて足首グキッ」の恐怖を味わったので今日はメガネをかけましたが、砂利道ではもう次の一歩(になる足場)から目が離せません。
雨が強くなっていてフードを被っていたので周辺視野でも周りがほとんど見えず、出だしはちょっと苦行じみていました。

地肌の階段部では、乾燥して地肌表面がさらさらしている時より踏み込みの安定がよいと感じました。雨による精神的な消耗というのか感度の低下というのか(フードを被るか被らないかでも身体全体の動きやすさは随分違います)、そういった要素が気にならなければ(ならないようになれば?)雨でもわりと歩きやすいのかもしれません。ただ雨の初回だったので、前回はほとんど使わなかった手すりを何度か頼って、足場の安定性を確かめながら一歩を着実に進めました。

岩場や砂利も好天時と歩きやすさは大差ありませんでした。普通の靴なら滑りやすくなるところですが、一本歯だと石や岩の突起部が木の歯底に食い込むからでしょう。ただつるつるした石の足場(平らにならされた石の階段など)では滑りやすくて、大文字だと火床に着く前に長い石階段があるのですが、あの石段の一段分の手前部分(奥はコンクリートでざらっとしています)を踏み込んだ時に今日はじめて「滑落の危険」が頭をよぎりました。ふつうに歩いてこけるなら(石段に倒れ込むように)前のめりになるのでまだましですが、石段の途中で小休止などしようものなら、ちょっと気を抜けば「ふらっ」と後ろに倒れることが一本歯だと大いにありうるので(一本歯なので足場がしっかりしていても構造上前後が常に不安定だから)、踊り場まではノンストップで「すべるな、すべるな」と念じながら(←受験生か)一歩ごとに石段の手前部分の凹凸状況を瞬時に把握して上りました。

大人でもちょっとごつごつした足場だと「どう踏めば安定か」ということを足場を見て考えながら歩くわけですが、小さい頃からさんざん歩いてきた経験によって「それほど注視しなくても(周辺視野におくくらいで)安定して歩ける」ように僕らはなっているわけですが、それは靴やサンダルや裸足での話で、接地面積の小さい一本歯でそれと同じ感覚に至るにはどれほどの経験を積まにゃならんのだろう、ということを今日を振り返る今考えてみたのですが、別に「そこまで手練れなきゃ歩けない」わけでもないので、今はとにかく場数を踏むしかないですね。靴で慣れた分だけまた1から、というわけでもないでしょうし。

で、なんとか火床までたどりつきました(最後の階段の途中で呼吸スピードを落とせるくらいの余裕はありました。火床到達2回目ですからね)。雨は降り続いていたので人はほとんどおらず、東屋で雨宿りしている男性一人だけでした。彼は三重の人で、京都観光がてら京都の山に登りにきたようです。三重で有名な山はと聞いたら「御在所岳」とのことでした。車でもアクセスしやすいらしい。へえ。

雨宿りしている間に少し明るくなってきたので、写真を撮りました。こんなこともあろうかと「うしくん」を連れてきていたので、盆地に広がる京都市街をバックに1枚。うしくんの見つめる先にあるこんもりした緑は吉田山緑地(手前)と京都御所(奥の横に長い緑)です。

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帰りはやはり力量不足なので靴に履き替えて下山し始めましたが、途中で分かれ道を発見し、体力的に余裕があったのか吸い寄せられるようにその上りとは別の道で下りました(石段より手前で左に折れると、材木で整えた地肌の階段がある)。前に住んでた時は「火床の下の方につながっているだけだろう」と思ってこの道に手を出さなかったんですが、前回に加えて今日も正規の道で登山中に別のところから話し声が聞こえてきていたので「この道も下に通じるに違いない」と判断したのだと思います(自覚なし)。

その道をちょっと下りると深い森のような、いや深い森の中で開けた場所のような所に出ました(三方が山に囲まれている地点だったから「深い」と感じたのだと思います)。下界の音もほとんど届かず、鳥のさえずりが登山時のルートよりもはっきりと聞こえて、そしてちょうど雨から変わった霧が辺りをうっすら漂っていて、「大文字山にこんな静謐な空間があったのか」と驚きました。
「深くて開けた感じ」は出せませんでしたが、その辺りで撮った1枚を載せておきます。

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この道は正規ルートよりも道がわかりにくく、階段をつくってある所をなんとか見つけてやっと「あ、ここ道やったんか」と気付くくらいで、また難所もいくつかあって、今回危なかったのは靴で歩いても地肌が滑って足を取られそうになった箇所でした*1。もちろん「ここ一本歯で登れるかな」と想像しながら下りたんですが、正規ルートの難所である石場*2のような所はない一方で、勾配が急な道が多かったり、足場が悪いうえにかがんで通過しないといけない場所があったり、上る方向と斜面の傾く方向が一致していない道(前回書いたようにカニ歩きでしか進めないような道)があったりして、距離はそう変わらないんですが難易度は上ですね。

この道がどこにたどり着くんだろうと思っていると、登山口から続く砂利の終わりで右に曲がって小さな橋を渡る箇所があるんですが、そこを右折せずにまっすぐ行った道がちょうど今回下りてきた道でした。なんと。

というわけで、今回は靴で下りたこのコースも「(最初は上り、それからずっと後に下りで)いずれ制覇すべきコース」に設定します。
バリエーションは多い方がいいですからね。

*1:雨だったせいもありますが…ちょうどそこで地元のおばあさんとすれ違う時に僕の足がずるずる滑るのを見て「あらあらあら大丈夫? どっかこれ…これ持って下りたら」とその場で杖になる枝を見繕ってくれるほど心配されてしまいました。どうやら地元民御用達ルートのようでした。

*2:砂利道と岩場の中間くらいで親指と人差し指で囲める大きさくらいの石が、「どう踏み込めば安定か」を立ち止まってじっくり考えてもきりがないくらい大量にごろごろしている所。前回は数回足をとられて地面に手をついたし、今回も一度だけグラッときて足首をひねりかけました。