human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

鼻緒の仮留め/工具は質の良いものを

前記事↓の続きです。
鼻緒が切れた後の話。

cheechoff.hatenadiary.jp

もともとは一本歯を買った時に鼻緒は履物屋(神奈川在住時に東京に行きました)の主人に調節してつけてもらっていたので、切れた時はすぐ「京都の履物屋を探さねば」と考えて帰り道にないか見て回ったりしたんですが、帰ってからネットで調べてみると前坪(下駄の前方に1つ後方に2つの計3つある穴のうち前の穴)で切れた場合は応急処置的に直すことが可能だと知りました。
とりあえず最初に見つけた直し方のサイト(動画があります)を参考にやってみることにしました。

www.kimonodesignmedia.com

手ぬぐいはちょうど持っていたのでさっそくビリビリと割こう…と思ったら手ぬぐいの外周を囲うように縫われていたのでその部分に鋏を入れて、景気よくビリビリッ! と破くまではよかったんですが、布きれをよって(くるくる回して)穴に入れようとした時にさあ大変。
指で押し入れるのでは到底入らないのでドライバと金槌を持ってきて、布の先を少しだけ穴に入れたらその上からドライバを突っ込み、ドライバの尻を金槌で叩きます。
そういえば履物屋で主人が鼻緒を取り付ける作業をしている時も同じことをやっていたような…という記憶に気分を良くしてトンカチやったんですが、難儀なものでなかなか穴の先まで布が通らない。

間違えて指を叩くベタなポカをやらかしながらやっと穴を通ったところで布の先端をペンチで引っ張ろうとすると、引っぱり力に布が絶え切れずにビリリと破れてしまいました。
反省してみるに「最初に裂いた布の幅が広過ぎたかな」と気付き、上のサイトでは3cmとあるんですが測ってみると自分で裂いた布切れは10cm近くあって、でもこれは元々の鼻緒の指を引っ掻ける部分の太さに合わせた幅だったのであまり細くしたくはないなと思い、5cmくらいにしてリトライ。

相変わらずドライバをトンカチやっても穴を通り切らないので方針を変更し、針に布の先端を通してから針を穴に通して引っ張ることで布を穴に通すことしました。
針と言ってもふつうに裁縫するような細いものではなく、手持ちの中で一番太いやつ(用途は忘れました)を使用。
その2トライ目でなんとか布きれを穴に通すことができました。

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上のサイトでは5分でできると書いてありますが、1時間以上かかりました。
サイトの動画は肝心の穴に布を通す部分が省かれていますが…5分てホンマかいな。
(ちなみに上写真の金槌の上にあるのが「手持ちの中で一番太い針」です)

そして鼻緒の長さを左右で合わせながら調節して、板の裏側で布切れを結んで、出来上がりです。

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今回使用した道具は、試行錯誤も含めて以下の通り。

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実は針セット、ドライバ一式、手ぬぐいは百円ショップで買った物です。
針はまあいいとして、手ぬぐいの布の引っぱり弱さがとても気になる(何せ鼻緒の耐久性に直結しますからね)のと、ドライバも「うーん、100円ならしゃあないな」という代物。

このドライバ一式の付き合いはけっこう長くて(多分6年以上)、このセットはプラスドライバとマイナスドライバが大きさを変えて3本ずつあって、それぞれ細い本体の中から使うやつを太い持ち手に差し込んで使う形式なんですが、今回みたいに金槌でガンガン叩くとドライバ本体が持ち手にガッチリ差さってしまって、手だけで抜けなくなるのでペンチを使ったりはこれまでもしていたんですが今回はそれでもとれなくて、本体をペンチで支えながら持ち手を(本体から持ち手が取れる方向に)金槌で叩いて取ろうとしたら、持ち手が下の写真のようにまっ二つに割れてしまいました。
(持ち手のプラスチックの破片がカーペット上に飛び散っています)

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「工作に用いる道具(工具)は最高(最高級)のものを用いるべきだ」とは森博嗣氏がエッセイで繰り返し書いている(例えば『工作少年の日々』とか)のを読んではいて、そうは言いながら今手持ちの道具があるのでブリコルール的には何とかやりくりすべきだと思ってこれまでやってきましたが、その手持ちの(安物の)道具が壊れた以上はもっと質の良いものを買おうと思います。
ちょうど生活が一新した時期でもあるし、手持ちになくて欲しかった工具(千枚通しとか)もいくつかあるし。

そうだ、話を戻せば、上の「今回使用した道具」は実際は全部はいらなくて、慣れてくれば手ぬぐいとドライバ(か千枚通し)くらいでいけそうだとは思うんですが、要は道中でこの修繕をできるようにならんといかんなという認識を得られたのが今回の教訓です。
そしてそうやって応急処置した下駄はどれだけ耐えられるか、またその仮留めの耐久性を上げるにはどうするか(素直に考えれば使用する手ぬぐいの強度を上げるか、手ぬぐいじゃなくて化繊を使うとかですかね)など、検討すべき点はまだまだあります。

とりあえず今回直した下駄はどれだけもつかを試してみようと思うんですが、これで山を登るのはちょっと(いや、かなり)怖い気がするので…こけても大丈夫でかつひっそりした場所(日中の鴨川河川敷なんてのは論外)を考えておきましょう。
今構築しつつある生活習慣的には早朝は難しくて、明るくないと足場が見えなくてこれも論外なので、日中で人があまりいない場所ですかね。