human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

どちらへも向かうこと

最近思考がまとまりません。


難しいことを考えているというよりは、
あるトピックをあちこちに繋がり過ぎていて、
面白かろうそれらのどの部分かを言葉にしようと思うと、
収拾がつかなくなることが明らかで「やんぺ」となってしまいます。

インプットの時期とアウトプットの時期という考え方をしたことがあって、
それは書くよりも読みたい時期とその逆という意味なのですが、
じゃあ今はインプットの時期かといえばそうではない気がします。
アウトプットが脳内で為されていて、それで忙しくしているのかもしれません。
この場合のアウトプットは、何かを形にすることではなく、何かを生み出すこと。
後者の方が上位概念で、抽象的です。

形にする前から変化の自覚があるようです。
毎日夢を見ることも関係しているかもしれません。


年末に帰省する時から読み始めた『風土』(和辻哲郎)が凄いです。
ただ読中で内容について何か書くと読み方が変わりそうな気がするので、
読みながら色々考えていることの中からひとつだけ書いておきます。


いろんな対立軸での二極化が進んでいますが、
ネットワークの発達とか五感のデジタル化は抽象と具体の二極化を推進しています。
抽象へ向かうのはデジタル化そのもので、具体志向はその反発です。
思ったのは、この二極化は「具体とは抽象である」ことの自覚を促すのではないかということです。

実写映像をテレビで見る場合、視覚情報以外は捨象されるという意味で抽象化されています。
これは、ある場所にいることよりある場所の映像の方が抽象的だというだけでなく、
映像を見ることでその場所の感覚を不完全ながら再現できるということ、
すなわち具体的なものの把握が抽象的な手続きでなされることをも示しています。

そして、この二極化の時代を真っ向から生きることは、
抽象化と具体化の両極をフォローすることだと思いました。
(馴染みのある言葉を使えば、抽象化は脳が主体となり、具体化は身体が先導します)
中庸ではなく、どちらへも向かうのです。

僕の生活はそういう方向性を持っているのだと、気付きました。