human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

「頭隠してシリカゲル」のこと

これは言葉にしておかないと、という出来事がありました。

毎週BookOffで1冊以上は本かマンガを買っています。
最近店のカウンタでポイントカードの作成を勧められるようになりました。
「オレンジのBookOffポイントカードを作られますか?」と聞かれるわけです。
今日の店員は、僕にそう聞きながらカードを手に取ってリーダに当てていました。

その作業の意味する所は実際知りませんが、見れば当然「え?」と思う。
「いや、アンタ聞く前からもう作っとるやん」と。
元々作る気はありませんでしたが、その店員を見て反射的に断りました。
チェーン店、効率化、とくればもっともな対応ですが、僕としては「ない」。

タダで作れるし、ポイント溜まるし、得はあっても損はない、何の断る理由がある?
という店の論理は、純粋な消費者にとっては同意できるものです。
チェーン店の消費者は店員の個性なんて見ないし、人間的な対応も求めない。
そういう了解が店と客の間でとれていれば、不都合はなにもありません。

が、僕はチェーン店に馴染んで育ちましたが、そこまで純粋にはなれませんでした。
(高校の時からマクド吉野家松屋にはよく行き、後にすき屋に通うようになりました)
余計な人間的接触がないのはチェーン店の利点の一つだと僕も思いますが、
それは客と店とが「建前としては了解する」ものだと考えています。

つまりそれは、必要に応じて個人の内面が表れる可能性をも了解する、ということです。
顔も身体も目の前にある以上、客も店員も匿名になれるはずはなくて、
「ま、とりあえずお互いナナシの権兵衛ってことで」という前提を意識できていれば、
お互いのロールプレイングに個性がにじみ出るはずなのです。

…話が少し逸れているかもしれません。
個人がどのような認識で振る舞おうが、何がしかの個性はにじみ出るものです。
「客を人間と思わない(たとえばカボチャとか)」という態度であっても。
僕が言いたかったのは、どんな状況であれそのような態度に反応はすべきだということ。

理由なんてなくて、敢えて言えばそれが人間だからです。

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この話は前に書いた記事↓と同じテーマです(2つ目のツイートのことです)。
cheechoff.hatenadiary.jp
恐らく「そういう目」で見ればこんなことは日常にありふれていそうですが、
それをいちいち目くじら立ててぐちぐち言うのは確かに消耗です。
ただ、前に書いた通りこの消耗は自分にとって決してムダになるものではないので、
生活に支障が出ない程度にコツコツ言葉にしていこうかと今日思いついたのでした。

というわけでタグ名を付けましょう。
テーマは曾野綾子的だけどあまり仰々しいのはヤなので…
「どのアヤコ?」とか…怒られるかな(誰に?)。
うーん、すぐには思いつきませんね。

同じテーマで次に書いた時に考えてみましょう。


タイトルは「乾いた人間は盲目的である」という…ちょっとキビシイかな。

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今朝起きた時に、別の言い方を思いつきました。
(やはり夢は頭の中を整理する機能があるようです)
死んだ言葉に反応しなくなると自分の言葉も死んでいく」と思うから、ですね。
鷲田氏の本のある一節を連想したので抜粋しておきます。

 語りには当然、言葉が関与します。言葉は、未だ形を成していない何事かをまとめる力を持っているわけですが、じつは、これにはいい面と悪い面が混在しているのですね。
 いい面とは、自分が何を思いどう感じているかということが、言葉になってはじめてわかるということです。悲しいのか腹が立っているのか、ギリギリの場面に立てば、人間はそれすら自分ではわからずに苦しんでしまうことがあるわけですから、その意味では言葉を与えることによってはじめて楽になる、あるいは気持ちが収まるということがあるわけです。
 ただ同時に、うかつな言葉を与えてしまうことによって、自分におこっている事態が、どこかよそよそしい他人事のように感じられてしまうということもおこります。記憶と同じように、私たちは感情もフィクティシャス〔フィクションの形容詞形〕に語るしかないのだとすればこれはむしろ当然のことで、だからこそ鋭敏な子どものなかには、自分の思いが深ければ深いほど、逆に口を噤んでしまうような子が出てくると思うのですね。
「人間は、言葉が紡ぎ出す物語のなかで生きていく」p.36(鷲田清一『教養としての「死」を考える』)

本記事のタイトルも、こちらの解釈の方がいいかなと思います。
盲目的な人間によって、その周囲からどんどん干上がっていく」。
だからといって本人が潤うわけでもないのですが。
「個人の砂粒化(アトム化)」のメタファとどこか通じる気もします。