human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

リビング・サイエンスについて

『おはようからおやすみまでの科学』を本日Veloceにで読了しました。

自分の生活について自分で考える、とはとても大事だと思います。
生活を構成するもの、食品や電化製品をただ消費・利用するだけでなく、
その出所を知る、仕組みを知る、それらの関係について想像する。
何より、提示された機能効果と自分の欲求とのズレを認識することが大事。

本書の後半で問われていたリビング・サイエンスのイメージは、僕は「身の丈」です。

作り手には現れない、消費者・利用者としての生活実感からくる「切実さ」。
これを飲み込むのでなく、きちんと言葉にするには、やはり考えないといけない。
そのために科学の基礎知識はもちろんないといけないですが、
それは日々の生活における「なぜ?」や「本当に?」を探求したいと思ってから。

本書のテーマに刺激されたので、とりあえずタグを作ってみました。
いくつか既に考えていることがあったので、また書いてみようと思います。

おはようからおやすみまでの科学 (ちくまプリマー新書)

おはようからおやすみまでの科学 (ちくまプリマー新書)

1箇所だけ抜粋しておきます。
著者らが2003年に開催したリビング・サイエンスについてのフォーラムで
参加者らにリビング・サイエンスのイメージについて問いかけた時に、
わたしが問われる」と答えた参加者の、この発言の解説部分です。

「今までの科学は、だれかが研究したり発明したりしているものを、見ていればよかった。成果は、受け入れていればよかった。どちらかというと、成果を受け入れるだけで、目指すものとか鳳凰性などは自分ではあまり考えなくてすんでいたと思います。だけどリビング・サイエンスは、自分でおもしろいと思ったもの、重要だと思ったものを自分で考え、必要ならそれらの関係をつなぎ、方向性を決定づけていかなければならないと思う。それは、結局は、自分がどんな生き方をしたいか、どれくらい考えたうえで選び取っているかを問われることではないでしょうか
「第6章 リビング・サイエンスの提案」p.165-166(佐倉統/古田ゆかり『おはようからおやすみまでの科学』)

考えなくてもそれなりに生活できる中で、「敢えて考える」ことを選ぶ。