human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

病気について

病気というと悪く聞こえますが、通常より広い意味で使っています。

いろいろある身体の健康の指標の中で、平均から外れる項目。
健康診断で血を抜いて測った時に「要注意ですね」と言われる数値。
あくまでそれらは平均からどれだけ離れているかを示すに過ぎず、
例えば平均より低くて「異常値」と診断されたβ-グロブリンの数値が、
自分の不健康とまっすぐ繋がっているかどうかは別の話です。

目安と言いながら具体的かつ定量的に示される数値は、
定量的である以上に定性的な効果を与えます。
自分は不健康だと科学的に(?)診断された。
努力して異常値を平均値に戻せば健康を取り戻せる。
いや、そうとは限らない。

定量的な医療というのは、定量化できた側面以外を切り捨てた医療のことです。
つまり健康診断の数値に全幅の信頼を寄せることはそのまま、
「自分の身体の数値で測れない部分は無視する」と宣言することになります。
その認識でいれば、破綻するまでは主観的に健康でいられます。
破綻とは、取り返しのつかない病気にかかる、ということです。

そういう生き方は、元が丈夫な人にとっては割に合う選択と思われます。
しかし丈夫でない人は、別の生き方を選択してもいい。
健康診断で異常がなくとも、日常的に体調がすぐれない人。
身体に顕れない種類の精神的な病を抱える人などが当てはまるでしょう。
あるいは、生得的にしろ後天的にしろ、身体に障害をもつ人。

医療制度が前提とする平均的な人間にそもそも当てはまらない人が、
数字を気にして無理に合わせる必要はない。
その認識で自分の身体を気遣う術を、もちろん医療制度は教えてくれません。
自分でなんとかするしかないのか、といえば、そんなことはありません。
健康は医療にとって飯のタネでしかなく、健康を司るのは医療ではなく○○です。

とりあえず「○○=文学」にしてみましょうか。唐突ですか。