human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

 -養老孟司

Craftsmanship for Sensitivity

セネットの『クラフトマン』からの抜粋です。 CADはまた、設計士が、実物のサイズとはまったく異なるものとしての、縮尺(スケール)について考えるのを妨げる。縮尺には比率=バランス(プロポーション)についての判断が含まれている。(…)たしかにディス…

脳化社会の「もう一つの側面」/ローファイ絶望社会論

『未来を失った社会』(マンフレート・ヴェールケ)を読了しました。原著は96年初版で、統計データなどは古いのですが、語りがいい。 「絶望の舌鋒を振るう社会学者」とのことですが、楽観はもちろんないが、悲観とも違う。 ラジオの天気予報のように淡々と…

「真実はいつも一つ」どころか無限に増殖しているとすれば

毎日新聞書評欄の、ちと古い2020.12.19号を読んでいて、「ん?」と思いました。 × × × 原発事故後に福島の支局で取材をしていた朝日新聞記者が書いたというルポルタージュ『白い土地』(三浦英之)の書評で、評者は国際政治学の岩間陽子という人。様々な理由…

必要と必然について

「必要」という言葉に、強く反応することがあります。 「必ず要る、というがそれは本当か?」と疑問に思うことが多々ある。 「必要」という言葉がその物や状況の必要性を形作るのは本末転倒とも思う。 自分の中に強い基準があると、人の言葉にも自分の思考を…

「自然」の実感について

久石 今、みんな暇さえあれば携帯メールをしているみたいだけれど、メールに花鳥風月のことを書く、自然のことを話題にする人なんていないんじゃないのかな。 養老 振り返って考えたとき、人間世界の誰それに怒られたとかいじめられたとかいうのは、自然の中…

「自然」を書くこと

養老 (…)中学生の時にいじめられた記憶を二十五歳になって書いたという『十四歳の私が書いた遺書』という本を読んだんです。そこで気がついたのは、その本の中には、花鳥風月が一つも出てこないんです。桜が咲いた、台風が来た、雪が降ったといったことは…

「自分の必然」の情報化について

最近、「必然」について考えています。一般的には、そうなるべくしてそうなった、ということを意味します。 これを「最初から、やる前から結果が決まっていた」ととらえる人がいます。 結果が分かり切ったことをやっても面白くない、と言えば頷きはします。 …

「運動性だけがある音楽」のこと

養老 『The End of the World』には意識的な志向性がありますね。どっちかというと情緒的。『Sinfonia』の方は論理性の追求ですね。 久石 はい、まさにその通り。(…)『The End of the World』は(…)ある種伝えたいことがあって、その認識を持って作曲する…

「方法論」について

註(13) <"かまえ(disposizione)"=もののみかた、ふれかた>という意味での理論について、メルッチは「現実を単に当たり前のもの、明白なものとして見てしまわないための、リアルな現実をとらえるためのある種のフィルター、現実がもつ意味について問いを…

和歩実践一ヶ月目進捗報告

和歩を始めてひと月ちょっとが経ちました。(きっかけは長いですがこちら↓) 「和のウォーキング」について - ユルい井戸コアラ鳩詣 2時間も和歩で歩くと、毎週何かしら発見があります。 でも歩き方を考えながら歩く時間は減っていて、安定しつつある。 何…