human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

 -内田樹

オープンシステムとしての自己言及

いやー、ルーマンは本当に面白い。 いつだったか、『自己言及性について』を1年以上かけて読み終えて、 その次のルーマンはと手に取った『目的概念とシステム合理性』を今読んでいて、 ちびちび過ぎて、どれくらいの期間読み続けてるかもはや記憶にありませ…

「弱い現実」と「危険社会の参加率」

一冊の本を読んでいて、ふと思考を催す箇所に遭遇する。 それが区切りのいいところだったりすると、そこで本を置いたりする。 そして別の本を手にとって(続きを)読み始め、前の本を連想する箇所に出会う。それは一つの面白いことだし、「面白いな」で済ま…

自己の定点観測、「りんとした現前」、幅のある瞬間

『「歴史」の体制』(F・アルトーグ)を読了し、二度目の再読に入っています。 8割以上が理解できず、なんとか意味が汲み取れた2割の中で重要そうに思えて印をつけた部分の前後だけを読み返すという再読。 やはりすぐには終わらない。歴史の体制 現在主義…

トラックのダッシュボードにイリイチがある世界(1)

『街場の現代思想』(内田樹)を、学生の頃に好んで読み返していました。 こういう仕事がしたい、という明確な像を持っていなかったし、そもそも仕事に対する強い意志もなかった時期、大学院生の頃でした。こんな極端なニュアンスではなかったと思いますが「…

半直線的人生、無人島レコード、媒介関数の発見

人間の人生が半永久的に長くなった今、人は現実というものをどう捉えて良いのか、迷っているように僕には思える。たとえば、数十年しか生きられないとわかっている人生ならば、自分ができることと、とてもできそうにないことがかなり明確に判別できただろう…

タイムリィな変化に鉢合わせしたので

1週間くらいぶりに内田樹氏のブログを訪れるとHP構造が一新されていました。tatsuru.comスマホ対応なのか、すごくシンプルになりました。 前みたくブログ記事の両側に著作紹介やらツイッターやらがごちゃごちゃ表示されなくなったので、見やすくなって僕は…

暑さと半死、それは修行なのかもしれない

暑いです。 こうまで暑いと、能動的になる意志が熱気に奪われる心地がします。意志は能動性の言い換えのようなもの。 先に受け身の出来事があっても同じで、意志がなければ受け続けるだけ。 「それはいやだ」という反逆が、人の意識の始まり。 だから「それ…

九条と自衛隊、思想のオーソドクシー、手続きのまっとうさ

『さようなら、ゴジラたち』の「戦後から遠く離れて」の章を読む。 憲法改正手続き法案が衆議院を通った頃の、憲法九条論。『九条どうでしょう』(内田樹ほか)は前に読んだ。 加藤氏はこの本所収の内田樹の主張にほぼ賛成している。 (以下、いろいろ混ざっ…

図書館から生活思想を立ち上げる

以下で引用した本はウチダ氏のいう「コンピ本」で、ブログに書かれたものを編集者がかき集めて編まれており、従って全文がリンク先で読めます。 NHK職員によるインサイダー取引のニュースが話のマクラになっています。 今回のようなモラルハザードは「ルール…

零の禅、思惟の啓蒙、メカニスムの持続

森博嗣のVoid Shaperシリーズはいま二作目を読んでいます。 (タイトルの"blood"、"scooper"に、装幀が"bamboo"です)ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper ヴォイド・シェイパ作者: 森博嗣出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/04/26メディア: Kin…

灯台守の無名性について

灯台守、センチネル、ゲートキーパ。 これも非常に興味のあるテーマです。 鳥検番はペラル山脈にあるシシナン山のふもとに住んでいた。鳥はそのペラル山脈を越えてやってくる。鳥検番は、そういう鳥を動かし、気象を左右する力があると言われ、町の人々から…

都留氏とこれから読みたい本たち

市場には心がない―成長なくて改革をこそ作者: 都留重人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/23メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る図書館の経済の棚を見ていて、都留重人氏の本をみつけました。 都留氏は鶴見俊輔の伝記…

ボルダリングとアフォーダンスと「必然的な動き」

長いですが最初に引用します。 武道的な考え方が西洋近代とうまく噛み合わないのは、武道では人間の身体は「力の通り道」だと考えるからです。巨大な自然のエネルギーが、調えられた身体を通って発動する。エネルギーは自分から出るわけではありません。源は…

プール習慣再考、京都歩きと公共的読書、憲法のこと

昨日はプールの後、夕飯を食べている間から疲労が増してきて、後片付けする元気もなくばったり倒れ、翌日の昼まで寝ていました。 疲れが溜まっていたようですが、生活リズムに再考の余地があります(オフが週一だとしんどいのかな。高校生以来ずっと週休二日…

戦略的可動式本棚積上法

タンスとトイレドアの修理の話を書こうかと思って撮り溜めた写真を見ていると、引っ越し前の荷造り時の写真があったのでこのことを先に書いてみます。 可動棚付き本棚を重ねる@神奈川 これは荷造り途中の寮の部屋の写真。 非常にわかりにくいですが、奥の左…

行き先不明のバスを見送る

一年ぶりくらいにウチダ氏ブログ(「内田樹の研究室」)をのぞきました。相変わらず更新が低頻度で、 日常的な思考はツイッターに呟かれていると思われますが、 数ヶ月前の投稿で長々と書かれた「いつもの話」を見つけました。いつもと同じなのはテーマのこ…

ほんの昔話

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」→『「おじさん」的思考』(内田樹)です。「おじさん」的思考作者: 内田樹出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2002/04/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (62件) を見る学生時代に、実家(二…

すり足感覚とハクセキレイのこと

和歩の話です。最近はまたちょっと寒いですが、暖かくてだんだん薄着になってきました。 それに伴い、歩いている間の「鷹取の手」をあまりやらなくなりました。 ジャンパで隠れている間はよかったのですが、袖から出ると少し引け目を感じます。 ただ手の緊張…

「踏みとどまる人びと」のこと

平日の朝食時は内田樹氏のブログを印刷したものを読んでいます。 朝は比較的仕事に近いので、夜に本を読む時とは頭の回り方が異なります。 けれど、仕事に近いだけ、会社の出来事(要素)とリンクしやすい。 のですが、今朝(3/25)読んだ部分は「夜型」の連…

「豆腐学的思考」について

地中深く一辺が一〇〇メートルの立方体の中に炭坑の坑道が、縦方向、横方向、斜め方向に幾重にも穿たれている状態をイメージするなら、Nスペースの豆腐とは、一辺が一〇〇メートルの立方体を指し、そこにNスペースの豆腐におけるオブジェクトとも捉えられる…

栄枯盛衰(2011/05/08)

2011/05/08(日) 14:14 店内 Lブレンドコーヒー ¥210 ●漫画のリアルになった時代 (美男美女しか出ないドラマ)とジブリアニメを見て思う 本来リアルに伴う「不整」「しわ」が丁寧に修正・消去された アニメで描かれてしか触れることができない 「リアルが描…

「歩行器的感覚」について

和歩の話です。前に「肩で風を切らない歩き方」と書きました。 もちろんこれは慣用句「肩で風を切る」にかけています。 あれはたしか颯爽と、というか「グイグイ歩く」イメージだったかな。 歩く姿に存在感があって、風も進路を曲げざるを得ない、というよう…

実践の時間と教育について

互酬性が[、]通常の経験が贈与概念に結びつけているような分散的な体験的行為の「客観的真理」であるとすれば、そうした互酬性が果して実践の真理──実践の主観的真理がこの「客観的」真理と完全に一致した場合に実在するといわれる真理──であるのかどうか疑…

変化のこと(5)-Consciousness is half the battle-

朝日新聞を今まで長期にわたって読んできました。 実家も朝日だったし、学生の間読まなかったのは1、2回生の頃だけでした。 就職で京都から神奈川に引っ越す時も販売店どうしで引き継いでもらった。 それが、つい3ヶ月前に、ひと月読むのを止めてみようか…

天狗下駄のこと(2)

「不穏な気配」とか「殺気」とか「邪眼」とかいうものは、「やかん」とか「おたま」とか同じようにリアルに存在する。私はそう思っている。現に、それを感じることがある。少なくとも、明治維新以前の日本人はほとんどは、危険な「気」を感知すると、立ち止…