human in book bouquet

図書館司書を念頭に、ボルダリングと読書の生活。

◆読書

コンポステーラの記憶、歩く必然

四国遍路の回想記↓は、序盤の山場手前で長らく更新が途絶えています。 司書講習が始まる前の、時間を少々持て余していた時期に書き始めたものです。 社会的立場は今もその時と変わりませんが、今はなかなかその時間が現れてきません。 大沢温泉(値段の安い…

病中後の審美的生活メモ

今週は過動で体調を悪くして、寝飽きるくらいずっと寝込んでいました。 過労ではなくて「過動」(ボルダリングは生活の一部)、登り過ぎです。 一日おきの一日7時間は、あまり休憩を挿まないにしては負担が大きい、 という教訓を得ました(3日以上間を空け…

限界芸術と「身の丈、ありもの生活」

『特性のない男』の三冊目を今日読み終えました。 どの巻も最後の章はとくに思索に富んでいるのですが、 三冊目終章の以下の箇所を読んでいて、鶴見俊輔氏の「限界芸術(論)」を連想しました。「限界」という単語がそうさせたのでしょうが、 この連想における…

「土着の玄人」の安定感

二人の言うことは同じではありませんが、 共通のなにかを見ることができます、 ということの中身について書きます。ハシモト氏の文章には説明がいらないほど克明かつ大胆なので、 氏の文章の他との関連を見出せた時には、 その「関連先」を理解する大きな手…

存在しない神を愛する

と、こう言った時に、 「神は死んだ」(ニーチェ)の近現代が念頭にあるように聞こえますが、 最初にそう思って、けれど読むうちに違うと気付きました。 エレクトラって、ギリシャ神話ですもんね。 単なる想像上の報酬(たとえばルイ十四世の微笑)は払われ…

遡創造と不確定性原理

『根をもつこと』を返却した日に、もともと書架の傍に並んでいた、 『重力と恩寵』を借りました。重力と恩寵作者: シモーヌヴェーユ,Simone Weil,渡辺義愛出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2009/08/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2…

非現実の非所有

これほどの長編(全6巻)を本腰を入れて読むのは始めてですが、 同じテーマが繰り返し現れる時に、 「それが長編であること」の効果を感じています。一つ目の引用の章タイトルがないのは本を返却していて手元にないからで、 ではなぜ引用ができるのかといえ…

退廃から遠く離れて ─ 『根をもつこと』を読んで

『根をもつこと』(シモーヌ・ヴェーユ)を、いちおう読了しました。 時間切れという面もありますが(おそらく日が変わりたての今日が返却日)、 読みたいと思った部分である第一部と第三部はひととおり読みました。根をもつこと作者: シモーヌヴェーユ,Simo…

零の禅、思惟の啓蒙、メカニスムの持続

森博嗣のVoid Shaperシリーズはいま二作目を読んでいます。 (タイトルの"blood"、"scooper"に、装幀が"bamboo"です)ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper ヴォイド・シェイパ作者: 森博嗣出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/04/26メディア: Kin…

連想の契機、四次元の意識空間

『博士、質問があります!』(森博嗣)に、SFのテーマで4次元の解説があって、 その中に「厚さ方向にだんだんと表情を変える金太郎飴」という例があります。 二次元空間にいる人(たとえば紙に描かれた人)が、 空間を通過するその金太郎飴を見ると、 たとえ…

梨木香歩と橋本治と「物語」

以前に「併読リンク*1」というタグを作って、 そういうタグを作ったからこのテーマが書きにくくなった、 ということについて書きましたが、 その理由を「"併読リンク"という現象が自然発火的でなくなる」と書いて、 それはそうかもしれないがそれは根本原因…

シモーヌ・ヴェーユと岡潔と「渾身系」

長いまえおきですが、まず花巻近隣の公共図書館について。 司書講習の後半くらいから、図書館めぐりをしていました。 車があったので、高速を使って市外へも行きました。 東北の有名どころとしては、南相馬、川崎村、一関へ行きました。 岩手県外ではあと、…

岡潔と安西水丸の共通点

まさかこの二人がつながるとは。 好きな画家は大観と久隅守景、外国ならゴッホ、ラプラードなどである。 (…) 守景のは実物は見ていないが、ある画家から新聞に出ていた写真版の「夕顔欄」を見せられて好きになった。この絵には半裸の夫婦よりも、それを見…

「横文字」的現象について(ホントなんだっけな…)

一つ前の記事を書いてる途中なんですが、 (途中でもう投稿しちゃいましたが) 「タイムリー」の話になったので寄り道します。 今日偶然読み始めた『ゲド戦記』(ル・グウィンの原作小説の方)もそうなんですが、 なにかの節目にそれとなく読む文章が非常に…

『特性のない男Ⅰ』を読んで (2)

前回の続きです。 だが興奮状態や興奮した行為の状態にあっても、彼の態度は情熱的であると同時に無関心だったのである。彼はかなりいろいろな経験をしてきたし、かならずしも自分には意味のないことでも、それが彼の行動意欲を刺戟さえすれば、いつでも身を…

『孤独の価値』(森博嗣)を読んで

孤独の価値 (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/11/27メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る以下、抜粋とコメント。 小説を呼んだり、ドラマを見たり、といったフィクションの世界に浸ることもできるし、また、現実を…

『特性のない男Ⅰ』を読んで (1)

『ムージル著作集 特性のない男Ⅰ』を読了しました。 面白い。 引き続き第2巻も図書館で借りて読むつもりです。 以下、抜粋とコメント、下線と太字は引用者。ムージル著作集 第1巻 特性のない男 1作者: R.ムージル,Robert Musil,加藤二郎出版社/メーカー: 松…

夏秋と彼岸

『The Void Shaper』(MORI Hiroshi)を数日前に読了して、 その数日前に読んだ箇所が発見で、 しばらく寝る前に考えるなり思うなりしていたのですが、 昨日と今日の起きがけ(といっても時間は長いですが)に感じたことを 書いておこうと思います。抜粋した…

一億総「ナカタさん」説

4ヶ月くらい前から再読している『海辺のカフカ』(村上春樹)がまだ読中で、そんな中久しぶりに自分が昔書いた書評もどきを読んでいて閃いたのでその内容をタイトルに込めました。カフカを読みながら「今の僕ってナカタさんみたいだなあ」と思っていたんです…

図書館員と「可能性の感覚」

一段落して、読書生活を再開し、またこれまでを振り返ったりしています。大した文章ではないですが、講習の応募のために書いた文章を載せます。 私は大学院を出てから去年の9月末まで6年半、神奈川県の○○○で働きました。それから約半年の準備期間を経て、…

ふたたび "Keeping Things Whole" について

『犬の人生』(マーク・ストランド)を数年前に単行本で購入して読みましたが、近所の図書館に新書判(「村上春樹 翻訳ライブラリー」)で見つけたので、あらためて借りて読みました。この本でいちばん記憶に残っているのはハルキ氏のあとがきに引用されてい…

都留氏とこれから読みたい本たち

市場には心がない―成長なくて改革をこそ作者: 都留重人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/23メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る図書館の経済の棚を見ていて、都留重人氏の本をみつけました。 都留氏は鶴見俊輔の伝記…

「中井久夫氏のムック本」拾い読み

毎週日曜に近所の図書館に通っていて、いつも新着図書棚を見ています。 毎回ちょっと見てみたくなる本があります。先週見つけた文藝別冊のムック本『中井久夫 精神科医のことばと作法』に思わず目が留まり、拾い読みして、拾い読みした部分を再読したくて借…

無題11

一寸先は 闇の奥 バイクの照らす 夜の道 走る男は 前を向く 今日を限りと 今日も行き 壁の向こうは 真の空 宇宙を漂う 家の舟 綴る男は 果てに行く 知らぬと知れり 知らぬまま 果てぬ夜空に 星多き 座して名指せど 限りなし 尽きぬ波間に 青深き いにしえの魚…

この書を持ちて、その町を捨てよ/「生活読書」

cheechoff.hatenadiary.jp 前↑の記事で寺山修司がひょっこり出てきたのは、橋本治の小論集『夏日』を同時に読んでいたからです。 下に引用した小論の初出は93年、『新・書を捨てよ、町へ出よう』のたぶん解説文です。 この本は文庫で持っていたんですが(た…

『未明の闘争』(保坂和志)を読んだ

ホッシーが言うように人は前世と同じ人生を生きるのだとして、それは一回きりでなく、何回も同じ人生を繰り返す。宿命とはそのことを言ったかどうかわからないが、宿命の一番正しい言葉の意味はそういうことに決まってる。 (…) (…)アキちゃんは今度は難…

図書館の本いろいろ/「本」を守る

とりあえず司書資格取得を目指します。 × × ×初期投資として司書の仕事や資格のことが分かりそうな最近出版の本(1)を新品で買って読み、1冊目からの数珠繋ぎで気になった本(2)(3)を図書館で借りて読み、図書館の棚を巡る中で興味が湧いた本(4)(5)(6)を借り…

市原〜雲ヶ畑〜上賀茂with一本歯、とその考察

一つ前の記事の通りに、一本歯デイウォーク実践編(3日目)を、本日挙行しました。コースは行きは予定通り、帰りは府道61号と38号の交差点で曲がって市原へ戻らずに直進して上賀茂へ下り、MKボウル上賀茂を終点としました。 距離は予定とほとんど変わらず(…

小島氏短編とT-Gen氏 @図書館

昨日『白衣の女』(ウィルキー・コリンズ)を読了したので、今日府立図書館へ行ってきました。返すついでに借りたのは小島信夫氏の短篇集成1と『「あの戦争」から「この戦争」へ』(高橋源一郎)。 タカハシ氏の本は偶然見つけ、目次を読むとまさに今借りよ…

曲に刻む経験の強度、脳内BGMについて

『菅野満子の手紙』(小島信夫)の派生で『白衣の女』(ウィルキー・コリンズ)を読んでいます。 語り手が複数いて、「それぞれの場面で最も適切な者が語る」みたいなことが序文に書いてあります。 今日は一日読むかと思っていましたが、その一人目の手記が…