human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

「高輪ゲートウェイ駅」、愚民思想、鏡と自覚

毎週、2,3日遅れで読んでいる小田嶋隆氏の時事コラム。 その先週のコラム内にタイムリーなテーマが扱われていた。 というのは、僕も同じようなことをこの数日考えていたからだ。 彼らは、 「オレはこういうのが好きだ」 と考えて、広告文案を案出しているの…

半直線的人生、無人島レコード、媒介関数の発見

人間の人生が半永久的に長くなった今、人は現実というものをどう捉えて良いのか、迷っているように僕には思える。たとえば、数十年しか生きられないとわかっている人生ならば、自分ができることと、とてもできそうにないことがかなり明確に判別できただろう…

「それ」を忘れるな

とても言葉にし切れませんが、 過去に書いた読書記録を読んで深く考えさせられました。cheechoff.hatenadiary.jp cheechoff.hatenadiary.jp変わっていないことと、変わり続けること。変わり続ける状態が継続している場合、この状況をどう感じるか? 変化の判…

Red Research, Purple Physics 3/n

"Colorless insight makes outsight colorful." × × ×──クライミングをやっていて、体幹という言葉をよく聞くようになりました。腕の筋力とか指の把持力とか、そういう末端というか、局所的な力とは反対のものを指すようで、たとえば「体幹を鍛える」なんて…

陸のない地球の話(序)

「陸のない地球の話をしよう」 「面白そうね。どんな話なのかしら?」 「僕らは海で生活をしている。海の中で、または海の上で。生活の具体的な描写は後々考えることにしよう」 「あら、私はそこが知りたいのだけれど。お父さんは船の上で釣りをして、今夜の…

mind magic multiplicity

Wシリーズ第2巻、読了しました。魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? Wシリーズ (講談社タイガ)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/01/19メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見るかつてなく…

reality stimulates vitality

リアリティ(現実性)について。 言葉の理解は、文脈を通じて現れる。 辞書的な意味の暗記ではなく、異なる様々な使用場面が複合的に頭に展開されることで「体得」される。「これはなかなかリアリティ溢れる小説だ」 「Sさん? ああ、あのタンクトップのリ…

Walking Margarine

Wシリーズ一作目、読了しました。彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? Wシリーズ (講談社タイガ)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/10/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る × × × 「逆に言えば、先生…

Fractal Apoptosis

因果関係は、幻想かもしれない。 「鶏と卵の関係」とは、互いに相関のある二つの事象に対して、原因と結果を割り振れない状況をいう。 その起源が深い籔に覆われた、不確定な現象。 僕らはそういったものに出会うと、片付かない気持ちになる。 不安、といっ…

【ボルダリング】400円でチョークバッグ自作

チョークバッグは、滑り止めの粉末チョークを入れる袋です。 厳密には、バッグ内に入れるチョークボールの内部にチョークを充填します。 チョークボールは布地のお手玉サイズの球で、握ると生地の隙間から粉が出てくることで、手に粉をつけるもの。 チョーク…

Led Lake, Moon Magic

「いやあ、また発見がありましたね。表面部と深部で異なる主ベクトルを形成することで、結果として領域全体の流れ内での局所摩擦を回避するとは、想像もつかないことでした。あれを観察対象として捉えた場合、流れは近似球面方向にのみ存在して、深度は流れ…

Ouroboros Optimization

森博嗣のWシリーズを先日、図書館で借りて読み始めています(第一作の『彼女は一人で歩くのか?』)。 本が薄いなと思いましたが、無駄が排除されたシャープな印象を、Vシリーズ(これも先日から電車内用に『赤緑黒白』の再読を始めました。文庫版は表紙がオ…

石黒浩と森博嗣

『"糞袋"の内と外』(石黒浩)を読了しました。序盤を読みながら、何度か『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』(森博嗣)の内容を連想し、それもあって、この二人は似ているかもしれないと気付きました。 一度そう思い込むと不思議なも…

香辛料の国 1-9

ローズマリー画伯の言葉を反芻する。「絵を描く間、時間が不思議な流れ方をする」。このことは「不思議でない時間」、すなわち通常の時間の流れ方をも示唆する。 感じる者によって、そして同じ者でも状況によって、時は不規則に刻まれるだろう。すなわち、そ…

香辛料の国 1-8

神の存在は任意である。誰のためにいるわけでもない、我々に関与しない存在として、神はある。信仰して跪くのも、邪教と罵るのも、我々の都合に過ぎない。祈りは浸透し、呪いは顕現する。形のない思念は、神を透明にする。 かつ、触れれば反力で応え、凭れれ…

小松菜+カルダモン+セージ=アボカド

レシピメモです。 野菜だしを使った野菜スープの話は前に書きました。 cheechoff.hatenadiary.jpいつも参照している野菜スープ本に載ってない野菜「小松菜」を使って昨日野菜スープ作ったんですが、普段は入れないスパイスを足してみたくなって、小松菜路線…

香辛料の国 1-7

香を永遠に失った者は、月と縁が切れる。湖は止まり、波立たない理想鏡であるはずの水面に、何も映らない。 色を吸収し尽くし返さない者を、風はすり抜ける。彼の周りで流れは淀み、その一点へ向けて、生死の定かでない薄まりは異世界への扉を思わせる。 消…

言葉の青海、類語の泡沫

久しぶりに「Cool Japanese」のタグ記事です。言葉の意味を調べるのに、国語辞典よりは類語辞典をよく調べるのですが、それは正確な意味を調べたいのではなく、類語と比べてニュアンスを確かめたいという意図があります。 厳密に論理的な文章を書きたいとい…

Physics Research with Quantum Purple 2/n

× × ×──初期のコンセプトとして、「身体と脳を仲良くさせる」というのがあったんです。養老孟司先生がいうように現代は脳化社会ですから、仕事をしていても、街に出ても家にいても、使うのは脳ばっかりですよね。身体は補助的な役割しかなくて、脳の制御を外…

Physics Research with Quantum Purple 1/n

「ダメだよ、そのスニーカー。ダメだってことは保証します」 なぜ、果物屋が自信ありげに他人のスニーカーを評するのか。 「ハズレですな、そいつは」 たしかに「現品限り四十%オフ。しかも箱なし」というのを買ってきたのだが、四十%オフになっていなかっ…

香辛料の国 1-6

文字のない本。ページを開けば広がるのは白紙ばかり、ではない。我々は紙の上のそれを、普通の本と同様に読むことができる。ただそれは、文字ではない。たとえば僕が、それを見る。読む。その本のあるページは、すると僕に問いかけてくる。僕はその本に対す…

家の葬式、曲の葬送

──「家の葬式」のことを、前にちらりとおっしゃっていましたよね。 ──はい。我々建築家は、家を新しく建てる場面に比べて、家を解体撤去する場面に立ち会うことが圧倒的に少ないのです。近頃はリフォームやリノベーションが流行しておりますが、世間の建築家…

香辛料の国 1-1

透明の理想。感覚に夾雑物がなく、思考が研ぎ澄まされた状態。圏外から流入する全てを許し、境界の内側から生み出される全てを受け入れる。生きていること以外に興味がなく、すなわち生命の存続に拘りがない。混じり合い、溶解し、呑み込まれ、分解される。…

香辛料の国 1-5

存在するものを共有できる人数は限られている。しかし、存在しないものを共有する人数には、限りがない。これは、その価値や重要性とは関係がない。ただそれが、存在するか、しないかの違いだけだ。 けれど、その「ないもの」を、あるように見せることができ…

桐野夏生とタカラヅカ

「姐さんは桐野夏生をご存知ですか。……ね、あの人の小説すごいですよね。重いというか、ズシッとくるというか。僕は『OUT』を最初に読んだんですけど、いや、食事中に話すのもアレなんですけど、死体を切り刻む描写にウッときて……そうそう、弁当屋の工場の。…

脳の新陳代謝、雲を食べること

『国境の南、太陽の西』(村上春樹)を読んでいて、ふと「脳と身体の新陳代謝」というキーワードが浮かんできました。 ある一つの場面に対して連想が始まって考え込み、しばらく立ち止まってから読む方に戻り、また別の場面で先の連想に対する反応がある(連…

香辛料の国 1-4

連想の契機、可能性の感覚。夢は叶うと色褪せるというが、これは夢を現実化する能力や資源に恵まれない者の負け惜しみではない。何かができる、自分は変われると思うのは、今の自分には手が届かないが、霞む視線の先に未知の色を見るからだ。 味や香の組み合…

香辛料の国 1-3

色の混じらない虹がある。五つの各色ははっきりと濃く、境界も明確で、五つの独自の主張となる。相手に見せるのはそのうち1つだけだが、その相手はこのこと、つまり「今目にしているのは五つのうちの1つだけ」であることを知っている。ふつうは2つ、持て…

香辛料のくに(1)

セージは言う、 「科学は幻想かもしれない」 クローブは言う、 「幻想は科学かもしれない」 フェンネルは問う、 現在は過去と未来を含めるのか、 変化と不変は視点の違いなのか、 空虚は充溢のための準備なのか、 コリアンダーは言う、 「小さな音に耳を澄ま…

"walking sincerity"、「行間のある会話」

一昨日に、高校の同級生と久しぶりに会って話をしました。 数年前の同窓会ではロクに立ち話もしませんでしたが、それ以前に在学中もこんなに長く話したことはなかったかもしれません。 聞けば彼女も独立して個人事業で生計を立てているという。 驚きはしたも…