human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

色即是空、お布施、命の重さ

江戸時代のお伊勢参りのマンガを読みながら考えたこと。てくてく ~東海道ぬけまいり~ (1)作者:山崎浩リイド社Amazon今でいうボランティアと、 お布施、またはお接待の感覚は、 違う。「情けは人のためならず」 という言葉は、その誤用でない正しい意味の…

「羊を持たない羊飼い」が最初にすること

自閉症的な社会では、それへの適応が自閉症的性質を亢進させる。 社会からの孤立(距離をおくこと)と全体性(ゲシュタルト性)の維持に相関がある、 という視点は、社会から一度も出ることがなければ、論理矛盾として斥ける以外にない。 × × ×引き続き、「…

ふとたぬき、どうたぬき?

前記事のコンセプトイメージの話なんですけど、 (さっき風呂張って入りながら考えてました) ふと、島の上に、人間じゃなくて動物だとしたら何がいいだろう? という発想が浮かびました。 本当に動物でいいのかどうかは別にして、 ちょっと妄想してみましょ…

群島思考 後編〜エコロジカル・ニッチのタネまき仕事

ビジョンが浮かんできました! やはり待ってみるものですね……別のことをしていても、他の本を読んでいても、 頭の中のどこかではいつもこのことを考えていたわけですが、 リースマン(『孤独な群衆』で有名な人)の本を今さっき読んでいて、 いちいちの記述…

群島的思考 中編〜行間の推進と水深、古本の復活と賦活

前半からちょっと間があいてしまいました。 早速、本題に入りましょう。 前編で、アンディ・クラークの本の一節にある「マングローブ効果」の記述、 あれは「考えることについて考える」ことのメタファーでありました。この部分を読んだ瞬間、 僕はこの比喩…

群島的思考 前半

島に木が生えているのを見たら、どちらが先にできたとあなたは思うだろうか。自然な(そして普通は正しい)のは、島が肥沃な土壌を提供し、幸運な種がそこに落ち着いたと考えることである。マングローブの森はしかし、この一般的な規則の示唆に富む例外とな…

気根の島

bakau-buku kepulauanmangrobooks archipelagomangrobuku archipelago──マングローブ mangrove(英)、bakau(インドネシア) 本 book(英)、buku(インドネシア) 島 island(英)、pulau(インドネシア) 群島 archipelago(英)、kepulauan(インドネシ…

引っ越し先で古本屋書架の設営を始めました

先月末…だったか、に引っ越して、 引っ越した翌日に帰省して、 散々登ったり歩いたりして、 その前から暑さがひどくて、 ぐったりしてましたが昨日、 ようやく引っ越し先で作業を始めました。前の家は近所の騒音がひどかったのですが、 今回はとても静か(そ…

島原半島滞在覚書(滞在三日目)

一昨日から、長崎県・島原半島の南島原市に滞在しています。自分はどんな生活を求めているか。 シンプルに考えると、とてもはっきりしています。どこでもいい、といえばいい。 その土地の情報とか、魅力とか、外聞とか、そんなことよりは、 本当に、そこに実…

論理の集合論の不条理について/正直は4チャンある

「意味を為すような一切の言葉の拒絶。声を出すことの拒絶。精神の荒廃、もしくは未然。廃人か、胎児───といったところでしょうか? しかし、どれも健康な青年には到達不可能だとすれば、その拒絶とは謂わば、拒絶できないことそのことが、拒絶すべきである…

松江にて

大阪から隠岐への帰り、 いつもは米子でしたが昨日は初めて松江を経由しました。 川沿いの桜の木の下で、ライ麦パンを立食しながら花見。

「百季夜行」、あるいは人形と踊る人形師

けれども、多くの問題は、そもそもその観測点の不同定を棚上げにして扱われている。ニューラルの変幻さを、一瞬だけネガフィルムのように反転固定した仮定の基に、ただ「こうでなければならない」という道筋を引く。それがロゴスだ。 したがって、疑うべき主…

Gestalt Climbing その2、あるいは高齢化社会におけるクライミング文化立ち上げの理路

住み始めて半年経つ離島生活。 半官半Xをやりながらクライミング文化の立ち上げに奔走(というほどでもないが)し、 そちらは紆余曲折あって、今日、とある区民体育館を使うために区議会で話す機会となりました。 その区の住民は全戸140人ほどのうち、半…

Hello to "Blue-Box Parallel World" !

セネットの『クラフツマン』も、もう長い間読んでいますが、 海士町に来てからは毎週末の朝食後に読む習慣になってさらに遅読化し、 ようやくそれも最終盤になってきて、読了を惜しむ気持ちが出てきました。ひょんな偶然(というか偶然の偶然)ですが、 この…

オープンシステムとしての自己言及

いやー、ルーマンは本当に面白い。 いつだったか、『自己言及性について』を1年以上かけて読み終えて、 その次のルーマンはと手に取った『目的概念とシステム合理性』を今読んでいて、 ちびちび過ぎて、どれくらいの期間読み続けてるかもはや記憶にありませ…

27日目:「八百万の神」のみぞ知る 2017.3.27

…→宿(ペンション サライ) 20km (1)砂浜を歩く 大岐の浜。 当然ながら歯が埋まるので脱いで裸足で歩く。 砂の感触が足裏に心地良い。 波打ち際で水がうっすら張ったところに空が映って清々しい。 親指タコの傷が心配だったが結果的にこれは大丈夫だった。 …

26日目:ハチの巣切削法を閃く 2017.3.26

…→宿(ロッジカメリア) 15km 午後過ぎまで弱い雨 (1)渡し船 小さめのガス船? で四万十川をわたる。 海面が近い。 船内を見ていると全く動かないのが不思議。 (車で中を見るのと何かが違う。乗り物の「枠」がないから?) 船賃は¥500。 対岸はハシゴだった…

三本軸の両側がぐりぐり動いて歩く話

身体性に関するメモです。最近、一本歯で夜の散歩を始めて、 一度で30分〜2時間くらいと幅はあるんですが、 毎度なにかしら発見があって、 でも今日さっき行ってきた中の発見が面白かったので、 そのメモ。 身体に三本の軸が通るイメージを多田容子氏の古武…

25日目:一日中雨の日 2017.3.25

…→宿(ペンションひらの) 20.5km 一日雨 (1)足の具合 鼻緒起因のマメはマシになってきた(水は治まらず[?]、痛みが引いてきている)、新たに足首のかかと寄りの部分が痛み出した。 ラストスパートで釈迦力を出したせいかもしれない。 そして痛みはほとんど…

24日目:忍耐の日 2017.3.24

…→宿(民宿白浜) 23km (1)ギフのおじいさんと再会 朝は自分より早く出たのに、国道から自然道(歩き遍路道)へ入る所で待っていた。 自然道を通り切ってから曲がる方向を間違えて車道を戻ってきたらしい。大変…… 少し喋ってから別れる。 読んでなんのこっち…

23日目:人の温かさ、「守り人」という司書志望の原点 2017.3.23

(37)岩本寺→宿(村の家) 22.3km 午後過ぎから雨 (1)そえみみず遍路道 上りは岩が多くて崩れた箇所もあり大変だったが、下りはゆるやかで石もまばら。 テンポ良く降りられて気持ち良かった。今までの自然道の中で一番快かったかも。 頂上で歯を削ったのも○[…

22日目:ヤスリで朴歯を削る 2017.3.22

(久しぶりの更新なので記述に関する説明。引用内の文章は遍路旅の道中に書いた日記をそのまま転記しています([ ]内は現在の追記)。引用の外の文は、それを今の僕が読んで思いついた内容です。当時の記憶はほとんど定かでないので、回想に届いてない感じで…

ヘルシオ(2004)「連絡13」その場凌ぎの法

えーと、久しぶりの記事がこれでアレなんですけど、 作業記録的に残します。 (経過の写真は撮ったんですけど、 なんとなくアレなんで載せません。 アレばっかだな、なんだ、アレって)前回投稿(といって当時の現状は何も書いてませんが)からの経過を 近々…

「弱い現実」と「危険社会の参加率」

一冊の本を読んでいて、ふと思考を催す箇所に遭遇する。 それが区切りのいいところだったりすると、そこで本を置いたりする。 そして別の本を手にとって(続きを)読み始め、前の本を連想する箇所に出会う。それは一つの面白いことだし、「面白いな」で済ま…

危険社会の現実主義的頽廃と形而上的リスクヘッジ

社会が階級社会から危険社会へと移行するとき、共有という関係の質も変わり始める。 (…) 階級社会の発展力は、平等という理想とつねにかかわっている。(…)しかし、危険社会においては、このような価値体系は見られない。危険社会の基礎となり、社会を動…

GRAVITY LOVERS(後)

えーと、前半の内容はさておき、早速本題に入ります。まず、件の動画を貼ります。 以下の話は、動画HP中に書いた文章と重複する部分もあります。 これは月一で通う近所のジムで撮ったものです。 いつもそういう動画は古本屋のインスタアカウントにアップする…

GRAVITY LOVERS(前)

ちょっとしたきっかけがあって、 テグジュペリの『人間の土地』を五年ぶりに読み返していて、 童話でも小説でもなく、おそらく体験記だと思うのですが、 つまりジャンル的にはドキュメンタリーと言えなくもないはずですが、 そうだとすれば、この本の哲学と…

危険社会の自己言及とシステム的孤独について

『危険社会』(ウルリヒ・ベック)を最近読み始めました。危険社会: 新しい近代への道 (叢書・ウニベルシタス)作者:ウルリヒ ベック法政大学出版局Amazon読もうと思ったきっかけ(最後にちょっと触れるつもり)はだいぶ前にあって、 しばらく前にテンポラリ…

Craftsmanship for Sensitivity

セネットの『クラフトマン』からの抜粋です。 CADはまた、設計士が、実物のサイズとはまったく異なるものとしての、縮尺(スケール)について考えるのを妨げる。縮尺には比率=バランス(プロポーション)についての判断が含まれている。(…)たしかにディス…

想像力を派生力に/希望のイコンとしての「パンドラの空箱」

ずっと前からいつ読もうかと思っていた、 セネットの『クラフツマン』をようやく読み始めました。 僕が工学部で、専門科目が本格的に始まった三回生の頃、 大学のキャンパスも移って工学部図書館に出入りするようになって、 読みたい特定の本としてその図書…