human in book bouquet

読書を通じて「身体へ向かう思考」を展開していきます。

香辛料の国 1-8

神の存在は任意である。誰のためにいるわけでもない、我々に関与しない存在として、神はある。信仰して跪くのも、邪教と罵るのも、我々の都合に過ぎない。祈りは浸透し、呪いは顕現する。形のない思念は、神を透明にする。 かつ、触れれば反力で応え、凭れれ…

小松菜+カルダモン+セージ=アボカド

レシピメモです。 野菜だしを使った野菜スープの話は前に書きました。 cheechoff.hatenadiary.jpいつも参照している野菜スープ本に載ってない野菜「小松菜」を使って昨日野菜スープ作ったんですが、普段は入れないスパイスを足してみたくなって、小松菜路線…

香辛料の国 1-7

香を永遠に失った者は、月と縁が切れる。湖は止まり、波立たない理想鏡であるはずの水面に、何も映らない。 色を吸収し尽くし返さない者を、風はすり抜ける。彼の周りで流れは淀み、その一点へ向けて、生死の定かでない薄まりは異世界への扉を思わせる。 消…

言葉の青海、類語の泡沫

久しぶりに「Cool Japanese」のタグ記事です。言葉の意味を調べるのに、国語辞典よりは類語辞典をよく調べるのですが、それは正確な意味を調べたいのではなく、類語と比べてニュアンスを確かめたいという意図があります。 厳密に論理的な文章を書きたいとい…

Physics Research with Quantum Purple 2/n

× × ×──初期のコンセプトとして、「身体と脳を仲良くさせる」というのがあったんです。養老孟司先生がいうように現代は脳化社会ですから、仕事をしていても、街に出ても家にいても、使うのは脳ばっかりですよね。身体は補助的な役割しかなくて、脳の制御を外…

Physics Research with Quantum Purple 1/n

「ダメだよ、そのスニーカー。ダメだってことは保証します」 なぜ、果物屋が自信ありげに他人のスニーカーを評するのか。 「ハズレですな、そいつは」 たしかに「現品限り四十%オフ。しかも箱なし」というのを買ってきたのだが、四十%オフになっていなかっ…

香辛料の国 1-6

文字のない本。ページを開けば広がるのは白紙ばかり、ではない。我々は紙の上のそれを、普通の本と同様に読むことができる。ただそれは、文字ではない。たとえば僕が、それを見る。読む。その本のあるページは、すると僕に問いかけてくる。僕はその本に対す…

家の葬式、曲の葬送

──「家の葬式」のことを、前にちらりとおっしゃっていましたよね。 ──はい。我々建築家は、家を新しく建てる場面に比べて、家を解体撤去する場面に立ち会うことが圧倒的に少ないのです。近頃はリフォームやリノベーションが流行しておりますが、世間の建築家…

香辛料の国 1-1

透明の理想。感覚に夾雑物がなく、思考が研ぎ澄まされた状態。圏外から流入する全てを許し、境界の内側から生み出される全てを受け入れる。生きていること以外に興味がなく、すなわち生命の存続に拘りがない。混じり合い、溶解し、呑み込まれ、分解される。…

香辛料の国 1-5

存在するものを共有できる人数は限られている。しかし、存在しないものを共有する人数には、限りがない。これは、その価値や重要性とは関係がない。ただそれが、存在するか、しないかの違いだけだ。 けれど、その「ないもの」を、あるように見せることができ…

桐野夏生とタカラヅカ

「姐さんは桐野夏生をご存知ですか。……ね、あの人の小説すごいですよね。重いというか、ズシッとくるというか。僕は『OUT』を最初に読んだんですけど、いや、食事中に話すのもアレなんですけど、死体を切り刻む描写にウッときて……そうそう、弁当屋の工場の。…

脳の新陳代謝、雲を食べること

『国境の南、太陽の西』(村上春樹)を読んでいて、ふと「脳と身体の新陳代謝」というキーワードが浮かんできました。 ある一つの場面に対して連想が始まって考え込み、しばらく立ち止まってから読む方に戻り、また別の場面で先の連想に対する反応がある(連…

香辛料の国 1-4

連想の契機、可能性の感覚。夢は叶うと色褪せるというが、これは夢を現実化する能力や資源に恵まれない者の負け惜しみではない。何かができる、自分は変われると思うのは、今の自分には手が届かないが、霞む視線の先に未知の色を見るからだ。 味や香の組み合…

香辛料の国 1-3

色の混じらない虹がある。五つの各色ははっきりと濃く、境界も明確で、五つの独自の主張となる。相手に見せるのはそのうち1つだけだが、その相手はこのこと、つまり「今目にしているのは五つのうちの1つだけ」であることを知っている。ふつうは2つ、持て…

香辛料のくに(1)

セージは言う、 「科学は幻想かもしれない」 クローブは言う、 「幻想は科学かもしれない」 フェンネルは問う、 現在は過去と未来を含めるのか、 変化と不変は視点の違いなのか、 空虚は充溢のための準備なのか、 コリアンダーは言う、 「小さな音に耳を澄ま…

"walking sincerity"、「行間のある会話」

一昨日に、高校の同級生と久しぶりに会って話をしました。 数年前の同窓会ではロクに立ち話もしませんでしたが、それ以前に在学中もこんなに長く話したことはなかったかもしれません。 聞けば彼女も独立して個人事業で生計を立てているという。 驚きはしたも…

「怒り」と「憤り」、あわよくば『VIVO!』(瀬川藤子)の書評

3巻まである『VIVO!』(瀬川藤子)をさっき読了しました。 何度目かの再読ではあるんですが、最終章を呼んでいるあいだに意外なところに連想がつながったので何か書こうと思いました。VIVO! 3巻作者: 瀬川藤子出版社/メーカー: ノース・スターズ・ピクチャ…

人間の定義、幽霊の希望

「君はいつだって、どこへだって行ける。でも……、ここへ来た目的は?」 「人間じゃない生きものを見たかった」 「ロイディは生きものじゃないよ」 「生きていないの?」目を見開いて、クロウ・スホはロイディを凝視した。「でも、話ができるし、歩いているわ…

「境界の緩んだ思考」- free dialogue in vivo 5

キーフレーズが最初に頭に浮かぶ。「孤独と境界には相関がある」境界とは、自分と他人との境目のことだ。孤独は、自分が一人であること、近くに誰もいないことの強い意識といえる。 その意識の前提として、自分と他人とが、個別にくっきりと認識されている。…

思考の自由、意識と関係、その起源

誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません、誰も。ただ一つの手段があるっきりです。自らの内へおはいりなさい。(…)もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白して下さい。何よりもまず、あなた…

評価、身の丈、個性と抽象

『思想をつむぐ人たち』(鶴見俊輔著、黒川創編、河出文庫)を読了。 これで2回目だったか、3回目だったか。思想をつむぐ人たち ---鶴見俊輔コレクション1 (河出文庫)作者: 鶴見俊輔,黒川創出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/09/05メディア: 文庫…

悪なす善人、名刺を作って思うこと

半年以上かかっていた『1Q84』は結局、岩手から引っ越す時期の慌ただしさに巻き込まれてbook3前半で途絶し(そして引越し時に半分の蔵書とともに手放した)、なにはともあれ騎士団長への道が一歩前進、次は「多崎つくる」かと思って本棚を眺めると、訳書でな…

Galera2級初クリア、鍛えずに登る、三度入り口、etc.

galera-climbing.com 大阪へ来て、ガレーラ↑に通い始めて1月半、昨日ようやく2級課題(スラブ)を初クリアしました。 常設課題ではなく月ごとにホールドの配置が変わるマンスリー課題ですが、マンスリーの中では3級が未だ一つも登れていない中の、唐突な…

タイムリィな変化に鉢合わせしたので

1週間くらいぶりに内田樹氏のブログを訪れるとHP構造が一新されていました。tatsuru.comスマホ対応なのか、すごくシンプルになりました。 前みたくブログ記事の両側に著作紹介やらツイッターやらがごちゃごちゃ表示されなくなったので、見やすくなって僕は…

暑さと半死、それは修行なのかもしれない

暑いです。 こうまで暑いと、能動的になる意志が熱気に奪われる心地がします。意志は能動性の言い換えのようなもの。 先に受け身の出来事があっても同じで、意志がなければ受け続けるだけ。 「それはいやだ」という反逆が、人の意識の始まり。 だから「それ…

12日目:疲労の徴候、4日ぶりの24番 2017.3.12

この日は、9日目に薬王寺を出て、鯖大師には寄りましたが4日ぶりに次の寺、24番最御崎寺に到着しました。般若心経や光明真言などを唱える、寺に着くと本堂と大師堂とで2回行う「お勤め」は、日によっては8回、10回とやる日もあり、そんな日は歩く時間が減る…

11日目:鈴をなくす、食あたり、「徳増」にて 2017.3.11

以下、日記をそのまま抜粋。 (1)鈴*1をなくした:人気のない道が増えてから白衣の紐につけるようになっていたが、上着を脱ぐ時に一度外す必要が生じ、いったんそばに置いてからそのまま忘れてしまった*2。熊よけ鈴との縁はこれまで、遍路用品店か高知市のア…

理屈の意志、知性の透徹

「理屈はあとからついてくる」とは逆の方向。 「有言実行」よりも抽象的。知性への信頼。 個の超越。 攻撃は最大の防御という言葉があるが、相手が防御しようと構えている場合には、そうそう簡単に有効な攻撃をすることはできない。むしろ相手が攻撃に転じる…

中央線ボルダリング事情

仕事の行き帰りの途中で通えるジムを探していました。 途中とは、主には高井田〜九条間(中央線)か、横堤〜ドーム前千代崎(鶴見緑地線)。 晴れていて特別な用事がなければほぼ通勤は前者の中央線です。これまでに森ノ宮と本町のジムに行きましたが、(前…

ゴミ出しにまつわる自由連想

花巻にいた頃の話。ゴミ袋は市の指定のもので、燃えるゴミ、資源ゴミともに2週に一度のペースで収集へ出していました。 収集所には各地域指定の番号があり、ゴミ袋にその番号を記入します。 僕のところは「南-20-3」だったんですが、住み始めてしばらく経っ…